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顧客体験向上における日本企業の課題はオムニチャネル化やリーダーシップ、米ジェネシスが調査

DIGITAL X 編集部
2020年12月8日

CX(顧客体験)やEX(従業員体験)を高める際の日本企業の課題は、オムニチャネル化やリーダーシップにある――。こんな調査結果を、コンタクトセンター向けサービスなどを手がける米ジェネシスの日本法人が2020年11月30日に発表した。

 米ジェネシス日本法人が発表した『Genesys Asia-Pacific Customer Experience Transformation Readiness Index 2021』は、CX(Customer Experience:顧客体験)とEX(Employee Experience:従業員体験)に関する戦略実行に向けた企業の準備状況を調査したもの。日本を含むアジア太平洋(APAC)地域の6カ国において、ビジネスおよびITの意思決定者492人を対象に実施した。回答者が属する企業のコンタクトセンターの席数は10〜3000席である。

 同調査では、CX/EX戦略に向けた準備状況の指数を(1)リーダーシップ、(2)従業員体験、(3)デジタル体験、(4)BCP(事業継続計画)、(5)AI(人工知能)導入、(6)クラウド導入の6つの要素から算出している。

 結果、APAC地域全体のCX/EXの準備状況レベルは54%。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でクラウド導入やBCPの整備が進んだことが準備状況レベルの数値を押し上げた。

 ただし日本のCX/EXの準備状況指数は43%で、APAC内で最低だった。特に(1)デジタル体験、(2)BCP、(3)リーダーシップの指数が低かった。逆にクラウド導入については49%でAPAC中で最高である。

 デジタルなCXにおいては、オムニチャネルへの対応が重要視されている。調査によれば、日本の回答者のうち55%は、コミュニケーションにおけるデジタルチャネルの利用率が30%未満だった。デジタルエンゲージメントの準備状況指数は、APAC全体の41%に対し36%にとどまっている。高齢化を要因に、顧客との対話チャネルとして音声が主に選択されていることが背景にある。

 リーダーシップの準備状況指数も、APAC平均の62%に対し日本は45%だった。CXの向上には、コンタクトセンターだけでなく複数部門の横断的な関与が必要になる。企業のトップレベルが監修し、部門横断的に編成したチームが求められるが、日本では同チームの確立が遅れているという。

 BCPの準備状況指数においてもAPAC平均の55%に対し日本は33%だった。調査によれば、日本企業の多くは、BCP計画の一環としてアウトソーシングに頼っていることがわかった。

 今回の調査結果について、ジェネシス日本法人社長のポール・伊藤・リッチー氏は、「日本の最大の強みは実行力の高さにあると見ている。顧客サービスから全体的な顧客体験に戦略的な焦点を移すことで、日本企業の競争力を高められ、グローバルリーダーとしての地位を強化できる」と述べている。

 例えば、部門を越えた相乗効果を生み出すためには、CX分野のエグゼクティブによるリーダーシップの積極的導入が重要だとしている。

 またCOVID-19の拡大を受けて在宅勤務への移行が強制的に進む中では、コンタクトセンターのオペレーターが安全な職場環境で働けるように、自然災害時のBCP対策でもあるマルチサイト環境の構築が重要になるほか、自動化技術を利用することも、顧客との関係構築やBCPの継続に有効な手段になるという。