工業／製造業の生産性を高めるための機械学習モデル、米AWSがクラウドで提供

　米Amazon Web Services（AWS）が提供するのは、工業や製造業における生産工程に向けた機械学習サービス。機械学習やセンサーデータの解析、コンピュータービジョンなどの機能を組み合わせることで、機械学習を使ったシステムを一から開発・構築しなくても、業務の効率化や、品質管理、セキュリティ、職場の安全性の向上などに利用できる。

　提供するサービスは、（1）「Amazon Monitron」、（2）「Amazon Lookout for Equipment」、（3）「AWS Panorama Appliance」、（4）「Amazon Lookout for Vision」の4つ。

　Amazon MonitronとAmazon Lookout for Equipmentは、産業機器の予知保全に向けて、メンテナンスが必要なタイミングを予測するためのもの。前者はセンサーネットワークを持たない層を、後者は既存のセンサーを利用したい層を対象にする。

　Amazon Monitronは、振動や温度などの異常変動から機器の動作を検知しユーザーに点検すべき時期を知らせる。種々のセンサーや集計したデータをクラウドに送るゲートウェイと、設備の異常パターンを検知する機械学習クラウドサービスが含まれる。モバイルアプリからも設備を監視できる。アラートにフィードバックを入力することで、システムの精度向上が図れるという。

　Amazon Lookout for Equipmentは、既存のセンサーで得たデータをクラウドで受信して、機器の異常検知と予測を実行する。データを基に正常／健全なパターンを把握し、個々のユーザー環境に適応した機械学習モデルを構築。

　AWS Panorama Applianceは、コンピュータビジョンによって品質管理や職場の安全性向上を図るためのアプライアンス製品。既存のネットワークカメラに接続して利用する。AWSの機械学習サービスやIoT（Internet of Things：モノのインターネット）サービスを統合している。カメラメーカーがコンピュータビジョンモデルを組み込んだ製品を開発するための「AWS Panorama ソフトウェア開発キット（SDK）」も用意する。個人用防護具の検知やソーシャルディスタンス確保などの構築済みモデルもある。

　Amazon Lookout for Visionは、画像解析の機械学習モデルにより、製品の異常／欠陥を検出するための外観検査を実現する。機械部品の亀裂やパネルのへこみ、不規則な形、製品の間違った色などの異常を識別。基準値外の画像も見つけられる。カメラのアングルやポーズ、照明などが変わっても、基準値となる「合格」画像を30枚提供すれば、正確な検査が可能だとしている。