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交通手段や経路を含めた全国の人流統計データ、ソフトバンクが提供
鉄道や高速道路、飛行機などの利用を含め、全国の人の移動に関する統計データの提供を、ソフトバンクが2020年12月10日に開始した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を含め、電車の混雑緩和や、まちづくり、災害対策、観光地の活性化などの計画立案に利用できる。同日に発表した。
ソフトバンクの「全国うごき統計」は、全国の人の移動に関する統計データ(図1)。自動車や鉄道、飛行機などによる経路も含む。ただ自動車での移動については、高速道路が対象で、一般道路については今後、拡大する予定である。
提供するデータは、ソフトバンクの携帯電話基地局のデータに基づく数千万台の端末の位置情報データと、鉄道などの各種交通機関の利用状況や各エリアにおける人口などの統計データを掛け合わせ、全国約1億2000万人の人口に拡大推計したものだ。特定日や特定月の平均値をCSV形式のファイルとして提供する。
端末の位置情報データは、個人が特定できないように匿名化し、統計的に処理している。交通機関の利用状況などについては、都市計画や交通計画など社会インフラに関する知見やノウハウを持つパシフィックコンサルタンツが協力している。
統計データには、(1)「OD量」(Origin:出発地、Destination:目的地)、(2)「断面交通量」の2種類がある。
OD量は、人がどこから出発してどこへ移動したかを示すデータ。「メッシュOD量」と「交通施設OD量」がある。メッシュOD量は、全国を1キロメートル四方に区切ったメッシュ区画単位での移動人数を交通手段別に推計したもの。例えば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の検討などに活用できるという。
交通施設OD量は、利用者が指定した駅や空港、高速道路のインターチェンジといった交通施設間の移動人数を交通手段別に推計したもの。例えば、乗り換えを含めた電車の利用状況などから駅の改良計画などに活用できるとしている。
一方、断面交通量は、隣接する駅やインターチェンジなど特定の施設間を移動した人数に関するデータ(図2)。例えば、時間帯ごとの電車の利用状況などが分かるため、混雑緩和の施策の検討などに活用できるという。
これら用途のほか、都市計画・開発などのまちづくりや、災害対策、飲食店などの出店計画、観光地の活性化、自動運転バスなどの新たなモビリティサービスの導入支援などへの活用も期待する。
ソフトバンクとパシフィックコンサルタンツは今後、人の移動に関するデータを、経済活動・各種インフラ・天候などに関するデータや各種サービスと組み合わせ、社会課題の解決や産業の活性化に寄与していくという。