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工場の部門をまたがる課題を分析し全体最適化を図るサービス、日立産業制御ソリューションズが発売

DIGITAL X 編集部
2021年1月12日

製造業の工場において複数部門にまたがる課題を全体視点で分析し、最適化を図るサービスを日立産業制御ソリューションズが2020年12月17日に発売した。ヤマハ発動機の浜北工場で実施したPoC(概念検証)の結果を基に製品化した。同日に発表した。

 日立産業制御ソリューションズの「MONOSOLEIL(モノソレイユ)」は、製造業における工場の業務課題を分析し、全体視点で最適化を図るサービス(図1)。多様化が進む製造現場のニーズに応えながら、工場全体の原価低減や生産効率向上、リードタイム短縮、在庫削減などを実現できるという。

図1:「MONOSOLEIL」のサービス全体像

 MONOSOLEILの製品化に先立ち、ヤマハ発動機の浜北工場(静岡県浜松市)において2020年2月からPoC(概念検証)を実施してきた。ヤマハ発動機の執行役員 生産本部副本部長 植田 孝太郎 氏は、その結果を次のように語る。

 「複数部門の課題を一気通貫であぶり出し、各部門が納得した解決策に導き合意形成するのは非常に難しい。(今回のPoCでは)生産現場の課題をリアルタイムに気づかせ、誰が何のアクションをとればいいかまで指示できるシステム構築ができ、これまで当社が培ってきた現場マネジメントを生かしながら的確に運用支援する仕組みになった。結果、計画遵守が極めて困難で複雑な浜北工場の歯車加工工程において、計画遵守100%、素材・中間在庫を約4割削減でき、生産性も向上した」

 植田氏のコメントからもうかがえるように、MONOSOLEILは、(1)業務改革のプランを策定する「全体最適業務コンサルティング」と、(2)課題解決のためのITシステムを構築する「カスタマーイン型持続改善ITサービス」からなっている。

 全体最適業務コンサルティングでは、独自の問題構造分析手法を使って、工場全体の業務に関する課題間の因果関係を1枚の「問題構造図」に展開したうえで、実効性のあるアクションプランを策定する。アクションプランは、業務改善のロードマップとしても利用できる。アクションプランに基づいた原価低減などの効果も試算する。

 カスタマーイン型持続改善ITサービスでは、策定したアクションプランに最適なITシステムを構築する。業務要件を小分解し、種々の業務モジュールを組み合わせることで、製造現場の多様性に対応する。システム変更や他拠点への展開に対しては、業務モジュールを入れ替えたり拡張したりすることで対応できるため費用を軽減できるとする。

 システム導入後の継続的な業務改善を推進するためのPDCAの仕組みも標準で装備する。PDCAを回す仕組みとして「行動促進型PDCAボード」と「課題解決型KPIツリー」を用意する。

 行動促進型PDCAボードは、製造現場におけるトラブル発生時に、トラブル要因とその影響を現場に加え関係者とも共有することで、的確かつ迅速な対応を促すもの。課題解決型KPIツリーは、現場の指標と経営層の指標をツリー構造に紐づけ、経営改善につながる現場改善の達成度合いを可視化する。

 日立産業制御によれば、組み立て加工型の製造業は近年、新興国や異業種の参入により、さらなる生産効率向上や原価低減、リードタイム短縮や在庫削減を求められている。しかし、現場は日々の改善を積み重ねてきており、経営層が求める大幅な効率向上や原価低減などには、なかなか応えられないという。

 さらに、工程ごと、部門ごとに個別最適を追求した結果、他部門との連携がうまくできず、想定した効果が得られないなどの課題も発生している。工場業務全体の最適化が企業競争力強化のポイントになってきているという。

 日立産業制御は今後、ヤマハ発動機とのPoCの経験を活かし、MONOSOLEILを組み立て加工をはじめとした製造業向けに展開するほか、製造領域だけでなくバリューチェーン全体にまで領域を拡張し、複数の業種・業務領域の協創をうながしたい考えだ。