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農業用水の水位を遠隔監視するためのLoRaWAN対応のIoTセンサーとカメラ、IIJが発売

DIGITAL X 編集部
2021年1月12日

ため池や河川など農業用水の水位を遠隔監視するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーとカメラを、IIJ(インターネットイニシアティブ)が2021年1月5日に発売した。農業インフラとして重要な水利施設などの管理業務の高度化・効率化を図る。2020年12月23日に発表した。

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が発売したのは、農業用水の水位を遠隔監視するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーと静止画カメラ。省電力での長距離通信が可能な無線技術LPWA(Low Power, Wide Area)規格の1つである「LoRaWAN」に対応している。

 併せて、無線基地局を地域で共同利用するためのデータ集約プラットフォームを提供し、スマートフォンやタブレット端末からの遠隔管理を、低コストで運用できるという(図1)。

図1:IoTセンサーとデータ集約プラットフォームを組み合わせた遠隔監視サービスのイメージ

 センサーには、(1)用水路向けの水位センサー「LP-01-L」、(2)ため池・河川向けのフローティング式水位センサー「LP-01-F」、(3)作物や施設を目視監視するための静止画カメラ「LoRaWANカメラ」がある(写真1)。いずれもデータを送信するための通信ボックスを持っている。

写真1:左から、用水路向け水位センサー「LP-01-L」、ため池・河川向けフローティング式水位センサー「LP-01-F」、静止画カメラ「LoRaWANカメラ

 LP-01-Lは、水田用水位センサーの技術を応用して開発した。用水路の水位を60cmまで1cm単位で測定できる。

 LP-01-Fは、フローティング方式のセンサーを使って、最大3段階までの水位を計測する。水深10mまでのため池や大型の用水路での利用を想定する。単3電池で約1年稼働する。

 LoRaWANカメラは、作物の生育や設備の目視監視など、定点観測での利用を想定した静止画カメラ。10分間隔で撮影した静止画データを送信する。データは圧縮し分割転送することで通信費を抑える。暗視撮影や高解像度画像の撮影にも対応する。

 各種センサーの価格は、LP-01-Lが5万1000円(税別、以下同)、LP-01-Fが15万1525円、LoRaWANカメラは15万円。センサーからデータを収集してクラウドに送信するための無線基地局の導入費用と、データ集約サービスの利用料金が別途必要になる。サービスの利用料金はセンサーや無線基地局の台数によって変わる(表1)。

表1:データ集約サービスの利用料金の例
機器構成年額利用料(概算)センサー1台あたりの料金
センサー5台+基地局1台3万円6000円/年
センサー50台+基地局2台6万円1200円/年
センサー100台+基地局3台8万5000円850円/年

 なおIIJは、農林水産省が2016年度の公募事業として実施した「低コストで省力的な水管理を可能とする水田センサー等の開発」に、水田水管理ICT活用コンソーシアムのメンバーとして取り組んでいた。今回のセンサー群は、そこでの経験と実績をもとに開発した。