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ベアリングの異常をセンシングする電池不要のIoT振動センサー、KELKが発売
ベアリングの異常を検知するための電池不要のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)振動センサーの最新版をコマツ傘下のKELKが2021年3月に発売する。モーターの廃熱で自己発電し、ベアリングなど回転機器の異常をセンシングする。2021年1月19日に発表した。
コマツ(小松製作所)の100%子会社であるKELKの「熱電EH振動センサデバイス KELGEN(ケルジェン)SD KSGD-SV」は、ベアリングなど回転機器が異常を起こす際の初期に発生する振動を検知するためのセンサー(写真1)。設備保全のCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)に向け、保全員による巡回点検コストを削減する。
KSGD-SVは、モーターの廃熱で自己発電して動作するため、配線工事あるいは電池交換が不要である。モーターの排熱により上昇したモーターの表面温度と外気と間に10℃の温度差があれば動作する。現行品と比べ、測定間隔はそのままに、振動測定の周波数レンジとサンプリング点数を高めた(図1)。
センシングしたデータは、無線通信網「KELGEN SD-Net」(KELK製)経由で管理用PCなどに送る。収集したデータは実証評価用のデータ管理ソフトウェア「KELGEN SDM」(同)のほか、社内データベースやクラウドに保存できる(図2)。
製造現場では、設備の老朽化や熟練技術者の不足により、機器保全が不十分になり、突発的な故障による機会損失や修繕費用の増加などが課題になっている。設備の状態をIoTセンサーで検知し、状態に基づいた適切なタイミングでメンテナンスする予知保全のニーズが高まっている。
そうしたなかで回転機器は、故障原因の約半数を占め、異常発生後の早い段階に現れる振動をセンシングすることが有効だ。ただ、動作電源を必要とするIoTセンサーは設置・運用コストが発生し普及していないという。
なお親会社のコマツでは、各工場において生産設備のダウンタイム削減や保全効率を高めるために、KSGD-SVを故障予兆検知用IoTセンサーとして使用し、設備保全のCBM化を進めている。