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CXを高めるためにテクノロジーの採用を加速する企業が7割超、米Zendeskの年次調査

DIGITAL X 編集部
2021年1月29日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック下でテクノロジーの採用を加速する企業が75%--。こんな調査結果をサポートデスク用ツールなどを開発する米Zendeskが発表した。背景には、CX(Customer Experience:顧客体験)の差が業績に直結するとの考え方が広がっていることがある。同社日本法人が2021年1月22日に発表した。

 米Zendesk日本法人が発表したのは、米本社が毎年実施している『カスタマーエクスペリエンス(CX)傾向分析レポート 2021年版』。同社の顧客企業9万社以上が同社製品をどのように利用しているかを示す独自のデータの分析と、世界15カ国(米、英、豪、ブラジル、仏、独、スペイン、日本、メキシコ、印、シンガポール、韓国、伊、北欧、ベネルクス諸国)の8000人以上の消費者とカスタマーサービス担当者、マネジャー、テクノロジー関連の意思決定者を対象にした意識調査の結果をまとめている。

 同レポートによれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により「テクノロジーの採用が加速した」と回答した企業は75%に上る。うち50%は「予定より1〜3年早まった」とし、25%は「4〜7年早まった」とする。

 その背景には、COVID-19による非接触/非対面の活動が増える中で、CX(Customer Experience:顧客体験)を重視する傾向が強まっていることがある。顧客の半数が「昨年よりもCXを重視するようになった」とし、企業の側も63%が「昨年よりもCXを優先するようになった」と回答している。

 「優れたCXを提供しているかどうかが購入の決め手になる」とする顧客は75%に上り、「CXが悪ければ他社から購入する」との回答も80%を占める。特に日本の消費者は、「ネガティブなサポートを一度体験しただけで競合他社に切り替える」とする回答が61%で、世界平均の50%より高い。

 CXのために優先投資するテクノロジーの対象としては、シームレスなオムニチャネルサービス、ITセキュリティの改善、アジャイルテクノロジー、コラボレーションツール、デジタルワークプレイスが挙がる。

 加えて、顧客がサポートを得るために利用するチャネルの変化がある。6割以上の消費者が「COVID-19の拡大以降、以前に使ったことのない新しいサポートチャネルを利用している」と回答した。

 ただし、世界では「WhatsApp」や「Facebook Messenger」といったソーシャルメッセージングアプリの利用が急増しているのに対し、日本では「オンライン問い合わせフォーム」が最も高くなる。ソーシャルメッセージングアプリでのサポートを望む顧客も、世界が31%なのに対し、日本は8%に留まっている。

 企業の側でもメッセージングサービスの導入が進む。2020年に企業の40%が新しいチャネルを導入し、うち53%がWhatsAppなどのアプリや、SMS、テキストメッセージ、Webサイトに埋め込んだメッセージ機能などを選んでいる。

 年次レポートは顧客に接するサポート組織の運営についても聞いている。コロナ禍において、世界ではサポート組織の50%が完全にリモートワークに移行したのに対し、日本では28%にとどまった。サポート組織に対し「新しく取り入れたツールやプロセスがない」との回答も日本は44%あった。

 実際「サポート組織のパフォーマンスを評価するために適切な分析ツールがない」とするマネジャーの率が世界の40%に対し日本は88%。「リモートワークに適切なツールがない」とするサポート担当者の率は世界の46%に対し日本79%と、日本でのツール導入の遅れが目立つ。

 今回の結果についてZendeskの製品担当エグゼクティブシニアバイスプレジデントであるShawna Wolverton氏は次のように述べている。

 「2020年は目まぐるしく変化したが、企業は不可能を可能にして適応した。CXがこれまで以上に重要になり、顧客のポジションに合わせた適切な戦略がビジネス成功の決め手になる。ビジネスの基本は変わらないがCRM(顧客関係管理)を重視したカスタマーサービスに対するニーズは、これまでにない速さで急増している」