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充填機・包装機を遠隔監視・制御するための機能、包材納める凸版印刷が開発し装置に標準搭載

DIGITAL X 編集部
2021年2月16日

商品を充填・包装するための機器を遠隔から監視したり制御したりするための機能を、包材を販売する凸版印刷が開発した。充填機・包装機の装置メーカーと連携し、機器の標準機能として搭載して提供する。従来よりも遠隔監視などの導入コストを抑えられるという。2020年2月3日に発表した。

 凸版印刷が開発したのは、充填機・包装機を遠隔から監視・制御したり、機器の稼働状況を示すデータを分析したりする機能(図1)。凸版印刷が扱う包材と合わせて提供している充填機・包装機の標準機能として提供する。装置メーカーと連携し実現した。

図1:充填機・包装機に標準搭載して提供する機能の全体像

 提供形態には、装置の稼働現場で利用する「エッジパッケージ」と、クラウドサービスとして提供する「クラウドパッケージ」がある。

 エッジパッケージでは、(1)稼働状態監視、(2)異常予兆監視、(3)製造履歴参照(トレーサビリティ)、(4)誤投入防止制御の機能を提供する。

 稼働状態監視では、設備の稼働状況をリアルタイムにモニタリングし、異常の早期検知や早期対応を可能にする。

 異常予兆監視では、事前に設定した条件から異常傾向を自動検知しオペレーターに通知することで、品質および設備異常への早期対応や防止につなげる。

 製造履歴参照では、センサーやアラームの時系列データや製品ごとの製造履歴を管理・参照することで、装置の停止要因の解析や品質異常発生時の波及範囲の検索を可能にする。

 誤投入防止制御では、投入資材や使用金型治具のセット位置を照合し選定間違いや設置ミスを防止する。装置が異常状態のまま運転再開することの抑止もできる。

 一方のクラウドパッケージでは、装置にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)機能を搭載し、データを中・長期的に可視化するサービス。「MIoTASU(ミオタツ)」の名称で提供する。日本酒メーカーの大関が2021年2月の導入を予定している。

 データはLT/3Gによる通信でクラウドサーバーに送信し蓄積する。蓄積したデータは、凸版印刷が持つ充填機の運用ノウハウを元に装置の保全活動用途に整理・集約した5画面100項目以上の情報として可視化する。

 これら機能は、凸版が2019年4月から提供している製造DX支援ソリューション「NAVINECT」のパッケージ商品といて販売する。発表時に標準搭載させる充填・包装機のメーカーは、四国化工機、大森機械工業、トッパンテクノの3社。今後は他メーカーとも順次連携し、食品、飲料、化学、医療の業界に向けて展開したい考え。

 食品や飲料、化学といった業界では、製造現場の生産性向上に向けたデータ活用への機運が高まっている。加えて製品の安全性への意識が上昇し、異常発生時に原因や影響範囲を早期に把握するためのトレーサビリティの重要性も高まっている。

 新機能の価格は、エッジパッケージの初期構築費が700万円から、各機能は34万5000円から。クラウドパッケージの料金は初期構築費が260万円から、月額利用料は3万5000円からである。いずれに1ラインに導入した場合の価格で、2ライン目から別途見積りになる。