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職場へのAI導入は3年以内で53%弱、人材サービスのアデコが調査

DIGITAL X 編集部
2021年2月19日

AI(人工知能)の職場への導入は、すでに導入済みの企業を含めて3年以内に52.6%−−。こんな調査結果を、人材サービスのアデコが2021年2月4日に発表した。対象業務としては経理・財務と品質管理が多かった。

 アデコは、スイスの人材サービス企業The Adecco Groupの日本法人。今回、『AI(人工知能)導入に関する意識調査』を一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)に本社を置く上場企業に勤める40代から50代の管理職(部長職・課長職)800人を対象に実施した。

 勤務先でのAIの導入状況については、「すでに導入している」が25.6%、「3年以内に導入を予定している」が27%だった(図1)。AIへの関心は高まっているが、AIを導入する企業は3年以内でようやく半数を上回るのが実状だ。

図1:職場へのAI(人工知能)の導入状況(n=800)

 諸外国と比較して日本におけるAI導入の状況については「遅れていると思う」が68.0%に上る(図2)。逆に「進んでいると思う」は4.6%にとどまった。

図2:諸外国と比べた日本のAIの導入度に関する見方(n=800)

 AI導入に向けた課題としては、「導入をリードできる人材がいない」(33.0%)と「AIを扱える人材がいない」(30.9%)など人材不足を挙げる声が強い(図3)。「AIに学習させるデータがない・整備されていない」も22.5%あった。

図3:AI導入に向けた課題(n=800、複数回答)

 こうした状況にあって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大がAI導入を推進するかどうかについては、日本社会に対しては「AI導入が進む」が64.3%だったのに対し、職場に対して「AI導入が進む」としたのは48.3%だったった(図4)。

図4:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のAI導入への影響(n=800)

 日本社会に「AIの導入が進む」とした回答者に導入が進む分野を聞いた結果は、「通信・インターネットサービス」が55.1%で最も多く、「市場調査・マーケティング」(53.0%)、「金融」(508.8%)が続く(図5)。

図5:日本社会で「AIの導入が進む」と見られている分野(n=514、複数回答)

 一方、職場に「AIの導入が推進される」とした回答者に導入が進む職種を聞いた結果は、「経理・財務」が50.0%で最も多く、「品質管理」も49.5%あった(図6)。それに「企画・マーケティング」(46.1%)、「情報システム」(43.8%)、「技術・製造」(42.2%)が続く。

図6:職場に「AIの導入が推進される」と見られている分野(n=386、複数回答)

 今回の調査結果について、アデコ取締役ピープルバリュー本部長の土屋 恵子 氏は、こう述べている。

 「2020年は、COVID-19の拡大により、DX推進の重要性が再認識される1年となった。多くの企業がAIの導入の必要性を感じながらも、導入をリードできる人財やデジタルに長けた人材の不足を課題ととらえている。AI導入のための環境の整備にあたっては、適した人材の登用にとどまらず、既存ビジネスとの有機的な連携を図る仕組みの構築、リーダーの育成、そして、それらを支えるために人材育成に重きをおく社内文化の醸成が必要になるだろう」