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新型コロナで内向き思考が強まる日本のDX、JEITAの日米企業調査
日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは、進展見せるも半数以上はいまだ情報収集段階にある−−。こんな調査結果をJEITA(電子情報技術産業協会)が2021年1月12日に発表している。日本企業と米国企業に対しDX投資への取り組みについて調査したところ大きな開きがあった。
JEITA(電子情報技術産業協会)は、日米企業のIT投資の違いを明らかにするための調査を2013年と2017年の2回実施してきた。今回、DX(デジタルトランスフォーメーション)を主なテーマに詳細に調査すると同時に、新型コロナウイルスの感染拡大がDXに与える影響についても調査した。
調査は米IDCに委託し、従業員300人以上の日米企業を対象に2020年8月〜9月に実施し、日本は344社、米国は300社から回答を得た。回答者はいずれも情報システム部門以外のマネジャーや経営幹部であり、ビジネスの視点から見たDXへの取り組み状況を知るものとして興味深い。その調査結果から以下では、日米企業のDXへの意識と取り組みの違いに焦点を当てて紹介する。
日本企業は半数以上が未着手で経営関与も低い
日本企業の全社レベルでのDXへの取り組み状況について、JEITAソリューションサービス委員会 委員長の馬場 俊介 氏は、「半数以上がいまだに情報収集段階にとどまっており、具体的な施策に着手していない」と話す。
2017年と2020年の調査を比較してみると、日米企業のDXへのスタンスの違いがはっきり現れている。日本のDX実施企業は2017年の約1割が約3割にまで拡大した。しかし、残り7割は、検討中や情報収集中、あるいは何も実施していない段階にある(図1)。
これに対し米国企業は、DX実施中こそ約3割だが、それに続く実証実験または検討中の企業が全体の約5割ある。同段階にある日本企業は3割で、今後のDX予備軍についても遅れが見られる。数年後のDXの実施状況には、より大きな格差が生まれる可能性が高い。
「情報収集や未着手の日本企業は約3割もいる。米国では5%未満だ。日本企業はDXにもっと積極的に取り組む必要がある」とソリューションサービス事業委員会副委員長 日米DX投資調査タスクフォース 主査の小堀 賢司 氏は指摘する。
DXへの取り組みの差は、経営者の意識の違いも大きな影響を与えている。経営者のDXへの関与について「直接関与している」との回答は、米国企業の約54%に対し日本企業は約35%にとどまる(図2)。
小堀氏は、「別の調査では、日本企業の半数以上が、申請されたDX案件を経営者が承認するプロセスを必要としており、トップダウンでDXが実施されるケースが少ない。これが日米のDX予備軍の数の違いに表れている」とみる。