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ローカル5Gを含む現場のための無線ネットワークの構築サービス、パナソニックが提供へ
現場が必要とする無線ネットワークを構築・運用するサービスを、パナソニックとパナソニック システムソリューションズ ジャパンが2021年4月1日から開始する。ローカル5Gなどの自営無線ネットワークにエッジデバイスや各種ソフトウェアを組み合わせ、それらのサポートも含めて提供する。2021年2月17日に発表した。
パナソニックとパナソニック システムソリューションズ ジャパンが2021年4月1日に始める「現場マルチネットワークサービス」は、種々の業界における現場の改革を支援するための無線ネットワークを構築・運用するためのサービスである(図1)。
両社のスタッフが、導入検討時のコンサルティングから構築、運用・保守までを一貫してサポートし、ローカル5Gなどを含む自営無線ネットワークにエッジデバイスやソフトウェアを組み合わせた環境を提供する。2021年春頃には、ローカル5Gを体験できる施設となる「ローカル5Gラボ」(仮称)も公開する予定だ(図2)。
無線ネットワークでは、既設のWi-Fiなどと連携しつつ、プライベートLTEやローカル5Gといった高速な無線環境を用意する。それらを組み合わせたネットワークを一元管理することで、運用コストを下げながら、現場に混在する通信方式が異なる端末に対するQoS(Quality of Service:サービス品質)を制御できるようにする。
ネットワークの構築時には、電波伝搬シミュレーション技術を使い、建物の設計図を元に、電波の伝搬を可視化しながら通信機器の最適な配置をシミュレーションする。周囲との干渉調査などにも対応する。
画像の伝送を伴う場合は、無線回線でも低遅延な画像伝送ができるよう、帯域推定技術を用いて画像の圧縮率を無線回線の変動に合わせて調整する。
組み合わせるエッジデバイスとしては、パナソニック製のタブレット端末やスマートフォン、ウェアラブルカメラやセキュリティカメラなどを用意する。他社製のAGV(無人搬送車)や業務用ロボットなどの連携ニーズにも対応する。
ソフトウェアとしては、画像認識やタブレット端末用アプリケーションなどを提供する。例えば、物流現場における荷分け作業を対象にカメラ画像から作業者の移動距離を計測したり、仕分け対象をプロジェクターによる投影で指示したりするアプリケーションである。ローカル5Gの特性を生かした画像センシングや機器の遠隔操作などのためのソフトウェアも用意する計画だ。
運用・保守フェーズでは、全国約70拠点・計1100人によるオンサイトサポートのほか、遠隔からの24時間365日の監視サービスを用意する。エッジデバイスやソフトウェアの運用・保守も対象にする。
なお2021年4月のサービス開始時に提供するネットワーク環境は、2.5GHz帯を利用し免許が必要なプライベートLTEの「自営等BWA」とWi-Fiのみ(図3)。1.9GHz帯を利用し免許が不要なプライベートLTEの「sXGP」と、自営等BWAとsXGP双方のSIMカードを共通に認証するLTEコアは2021年6月から提供。Wi-Fi6を2021年10月から、ローカル5Gは2022年4月から、それぞれ提供する。
ローカル5Gでは、認証・セキュリティ管理やセッション管理、ポリシー制御などの機能について、現場での利用に必要な機能・規模に絞った仕様にすることで、低価格化を図るという。Wi-Fiなども統合的に認証できる5Gコアを導入する。機器の提供に先立ち、ローカル5Gの導入コンサルティングは2021年4月から提供する。
現場マルチネットワークサービスの料金は、機器費用と導入・構築サポート料が個別見積もり、運用サポート料は月額12万円から。パナソニックは2025年に累計1000億円の販売を目指す。