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変電所の予兆診断や故障を予測するためのシステム、スイスの日立ABBパワーグリッドが発売

DIGITAL X 編集部
2021年3月25日

変電所における予兆診断や故障予測などを可能にするシステムを、スイスの日立ABBパワーグリッドが2021年2月23日(現地時間)に発売した。変電所にある機器の性能などをリアルタイムに監視することで、故障前のメンテナンスや更新などを可能にする。同日に発表した。

 スイス・日立ABBパワーグリッドの「スマートデジタル変電所ソリューション」は、変電所に設置されている機器を監視・運用するためのシステム。機器の稼働状況を示すデジタルツインを構成する「デジタル変電所」の技術と、予兆診断や故障予測、意思決定支援などに向けた管理・分析機能を組み合わせた。

 変電所の生産性や持続可能性、信頼性、安全性を高め、電力ネットワークの安定化を支援できるとしている。再生可能エネルギーをはじめとする分散型エネルギー源の導入拡大や電力ネットワークの相互接続を支援し、脱炭素社会の実現に貢献できるという。

 デジタル変電所は、変電所内の通信・制御用に従来の銅ケーブルに代えて光ファイバーケーブルを敷設するシステム。設置面積の省スペース化と、CO2排出量を削減しながら、機器やセンサーから取得したデータを活用することで、変電所の監視・運用の高度化を図る。

 具体的には、変圧器や電線、遮断器、その他の変電機器など、主要な変電所資産に対し、そのパフォーマンスやメンテナンス履歴、作業者と資産の配置といった情報をリアルタイムに把握する。1つの変電所だけでなく、複数の変電所の資産を対象に故障に関するリスク評価を可能にする。

 変電所資産は、同社の資産パフォーマンス管理システム「Lumada Asset Performance Management(Lumada APM)」を使って分析する。データ分析により、変電所機器が故障する前にメンテナンスを実施したり更新したりの対策を講じることが可能になる。

 重要インフラの1つである変電所を管理するために、システムの信頼性やセキュリティも高めている。セキュリティ面では、耐量子暗号(量子コンピュータによる解析を防ぐための暗号)を使うことで、情報をリアルタイムにやり取りする際の通信の安全を確保しているとする。

 カスタマーサービスも用意する。全世界で24時間365日、エキスパートが専門知識や技術アドバイスを提供する。