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高業績企業のCEOの優先事項は人材、テクノロジー、パートナーシップ、米IBMのシンクタンクが調査

DIGITAL X 編集部
2021年4月2日

withコロナの時代に高業績企業のCEO(最高経営責任者)が最も優先するのは従業員の福利厚生--。こんな調査結果を米IBMのシンクタンクが発表した。世界の約3000人のCEOを対象に調査したもので、その背景には、成功に重要な項目として人材、テクノロジー、パートナーシップを重視していることがある。米IBMが2021年2月2日(現地時間)に発表している。

 『CEO Study 2021』は、米IBMのシンクタンクであるIBM Institute for Business Value(IBV)が英調査会社のOxford Economicsと協力し実施した調査の結果。世界の約50カ国26業界から約3000人のCEO(最高経営責任者)を対象にオンラインでインタビューしている。

 2020年に世界を襲った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受け、調査対象のCEOの61%が喫緊の課題に挙げたのが「リモートワーク体制の強化」である(図1の左)。“あらゆる場所”で働く人材をいかにマネジメントしていくかが重要だと認識しているわけだ。

図1:世界のCEOの多くが「リモートワーク体制の強化」に最優先で取り組んだ(左)。そのうえで高業績企業は従業員の福利を利益より優先した

 しかし、業績が高い企業と低い企業では、対策の優先順位などに差が現れた。
高業績企業とは、「2020年以前の3年間に同業他社よりも高い収益成長率を達成、かつ2020年だけを見ても同業他社と同等かそれ以上の業績を上げた」企業。いずれの基準も満たさず例年を下回る収益成長率を報告した企業を低業績企業としている。同業種・同規模グループ内で上位20%が高業績企業に、下位20%が低業績企業に該当する。

 例えば高業績企業のCEOは、COVID-19のパンデミック後に成功を収めるためには、社員の総合的な福利厚生への投資、オープンなハイブリッドクラウドのような柔軟で拡張性あるテクノロジープラットフォームの選択、オープンイノベーション(共創)のアプローチで成果を上げるためのパートナーシップなどを重視している。

 具体的には、高業績企業のCEOの77%が「短期的な利益を犠牲にしても従業員の福利厚生を優先する」と回答(図1の右)。これに対し低業績企業のCEOの場合は39%に下がる。IBMサービスのシニアバイスプレジデントであるマーク・フォスター(Mark Foster)氏は、この違いについて、こう語る。

 「COVID-19のパンデミックにより多くのリーダーは、自社の人材など必要不可欠なものに注力することを余儀なくされた。多くの従業員の雇用主に対する期待は大きく変化している。『場所を選ばない』働き方によってリーダーには、アジャイルなテクノロジーの提供、従業員の福利厚生を優先するなど、より共感力を得られるリーダーシップモデルの採用や柔軟で許容度の広い文化の醸成が求められている」。

 今後2、3年間で自社に最も影響を与えるであろう外部要因としてCEOの57%がテクノロジーを挙げる。クラウド、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が有効なトップテクノロジーだとする。

 そのうえで高業績企業のCEOの62%が、最も大きな課題として「テクノロジーインフラストラクチャー」を挙げる。これは低業績企業の2倍近くに上る。IBMは、「目まぐるしく変化し続けているテクノロジーに対し、高業績企業が正しく評価しているのに加え、低業績企業がすでに周回遅れになっていることを示唆している」と指摘する。

 また高業績企業のCEOは、パートナーシップにも重点を置いている。63%が「パートナーシップが業績を向上させるためにより重要だ」と回答。同様の考えを示す低業績企業のCEOは32%である。IBMは、「高業績企業のCEOは、自分たちが最も得意とすることに注力し、さらに幅広いアイデアやイノベーションの機会を得るためにパートナー企業やエコシステムを重視している」と結論づけている。

 特にエコシステムは、気候変動のようなグローバルな課題の解決への貢献を考えれば、永続的な変化を推進するうえで極めて重要な役割を果たすとみられている。