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AIシステムの開発効率を高めるフレームワーク、日立が提供へ

DIGITAL X 編集部
2021年4月13日

AI(人工知能)システムの開発・運用における効率や品質確保を可能にするアプリケーションフレームワークを日立製作所が2021年6月1日から提供する。テンプレートや共通部品群なども用意する。同3月23日に発表した。

 日立製作所の「Justware AIアプリケーションフレームワーク」は、基幹システムや社会インフラシステムなどを対象にしたAI(人工知能)システムを開発するためのフレームワーク(図1)。安定性や信頼性が求められるAIアプリケーションの開発・運用の効率化と品質向上を支援する。

図1:「Justware AIアプリケーションフレームワーク」による開発の流れ

 同フレームワークでは、日立が複数業種で手がけてきたAI導入案件におけるノウハウや技術を標準化している。具体的には、(1)AI導入の期間を短縮するための汎用テンプレート、(2)AIの精度劣化を防ぐ機能を持つ開発・運用支援基盤、(3)安定性や信頼性、品質、開発効率を高めるための共通部品群「AIスタンダードライブラリ」などである(図2)。AIエンジンには、開発言語「Python」に対応していれば任意のエンジンを利用できる。

図2:「Justware AIアプリケーションフレームワーク」のシステム構成

 汎用テンプレートを使うことで開発者は、同じアーキテクチャーに基づいてPoC(Proof of Concept:概念検証)からアプリケーションの実装までに取り組める。カスタマイズにより入力データの変更やAIエンジンの差し替えなどができる。

 まずは、コールセンターの業務量分析、人財マネジメント(従業員行動予測)、マーケティング(リピーター予測)の3つのフレームワークを用意する。順次拡充していく。

 開発・運用支援基盤は、システム稼働後のAIシステムの学習・分析精度のメンテナンスを自動化する機能を持つ。入力データや推論結果を継続的に監視することで、予め設定したルールに基づいて異常なデータや結果を検知することで予測精度の劣化を防止する。

 劣化を検知すれば学習をやり直す。学習結果をバージョン管理することで、過去のモデルの選択もできる。これらの監視や管理は管理画面から確認できる。

 AIスタンダードライブラリは、Pythonに対応した共通のソフトウェア部品群。ログ出力や、業務処理の呼び出し順序の制御、トランザクション制御、既存システムといった機能を用意する。

 日立は本フレームワークを、自身の受託開発案件に適用するほか社外にも提供する。フレームワークを使用するための問題解決支援や予防保守情報の提供などのサポートサービスや、開発プロジェクトへの技術支援サービスも用意する。

 Justware AIアプリケーションフレームワークの価格は個別見積もりである。