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コマツの「つながる工場」支えるIoTプラットフォーム、クオリカが外販

DIGITAL X 編集部
2021年4月23日

小松製作所(コマツ)が自社の生産現場改革のために構築したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)プラットフォーム「KOM-MICS」をITサービス会社のクオリカがコマツ外への販売を開始した。工作機械の稼働データや加工データなどを収集・分析することで生産プロセスにおける課題解決策の立案を支援する。2021年4月5日に発表した。

 クオリカが販売するのは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)生産支援プラットフォームの「KOM-MICS」。小松製作所(コマツ)が生産現場の改革策「つながる工場」を実現するために自社開発した仕組みで、これを外販する(図1)。コマツは、つながる工場の取り組みで、「第8回ものづくり日本大賞」(令和元年度)の内閣総理大臣賞を受賞した。

図1:「KOM-MICS」のシステム構成

 KOM-MICSは、(1)生産現場のデータを取得する「KOM-MICS Logger」、(2)取得したデータを保存・管理する「KOM-MICS Cloud」、(3)データを可視化し問題点の抽出や品質・生産性を高めるための「KOM-MICS Viewer」の3つのサービスからなる。

 コマツでの運用経験に基づきKOM-MICSでは、主要メーカーの工作機械への接続が容易なほか、汎用的な装置や分析ツールなどを採用することで導入コストを抑さえているという。

 実際KOM-MICSは、コマツの国内外の工場や協力企業で利用されている。機械加工機が約1000台、溶接ロボットが約500台接続されており、サプライチェーン全体の生産性向上に寄与しているとする。

 クオリカは今後、KOM-MICSの販売に加え、ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)やMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)などとの連携を含め、工場全体の生産性向上のためのサービスを投入する計画だ。まずはKOM-MICSに延べ1万台以上の機器の接続を目標にする。

 国内の製造業では、就労可能人口の低下や若者のものづくり離れが課題になっており、国際競争力の低下や技術革新の停滞などが懸念されている。その解決には生産プロセスのデジタル化が重要になる。

 だが各種データは生産プロセス単位に管理されることが多く、生産プロセス全体の最適化に活用されていないのが現状だ。次世代のものづくりに向けては、生産プロセス全体のデータを一元管理できるプラットフォームが必要だとされている。