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地域独自のキャッシュレス決済を可能にするサービス、NECソリューションイノベータが開始

DIGITAL X 編集部
2021年5月3日

地域が独自にキャッシュレス決済の仕組みを構築できるサービスを、NECソリューションイノベータが2021年4月16日に開始した。観光客が滞在期間だけ使えるQRコード決済を提供するなどで、地域経済の活性化につなげるとする。決済により得られる購買情報から人流や消費行動を分析することもできる。同日に発表した。

 NECソリューションイノベータの「NEC クロスドメイン型デジタルサービス構築プラットフォーム キャッシュレスサービス」は、地域が独自のキャッシュレス決済の仕組みを構築するためのサービス。宿泊施設などがQRコードを発行し、観光客など地域外からの来訪者が滞在期間中のみ、そのQRコードを使った決済を可能にする(図1)。月額課金のため、イベントなど期間限定での導入もできる。

図1:「NEC クロスドメイン型デジタルサービス構築プラットフォーム キャッシュレスサービス」の概要

 初期ユーザーとして広島県尾道市瀬戸田地域が、「しおまち商店街活性化プロジェクト」における決済サービス「しおまちペイ」として2021年5月上旬からの導入を予定する。

 決済専用端末は不要で、観光施設や商業施設な既に利用しているスマートデバイスを決済端末にできる。決済時は、顧客が持つスマートフォンまたは生体認証付きカードに表示されるQRコードを読み取り金額を入力すれば、決済情報が決済代行会社へ送信される。

 顧客は宿泊施設などで利用登録をする。本人確認書類などは不要だ。スマートフォンなどでLINEの公式アカウントに友だち登録すると、自身のクレジットカード情報とひも付けた決済用のQRコードが発行される。

 スマートフォンやLINEアプリを利用していない顧客の場合は、宿泊施設などが生体認証付きカードの貸し出し、指紋情報を登録する。決済時は指紋認証によりカードの液晶部分に決済用QRコードが表示される。カードの返却時に精算する。

 決済時は多要素認証を利用することもできる。スマートフォンや生体認証付きカードの提示に加えて、LINEの場合はスマートフォンのパスワード入力による認証解除操作を、カードの場合は指紋認証を組み合わせる。決済機能は、顧客が宿泊施設をチェックアウトした際などに利用を停止しQRコードは無効化する。

 決済による購買情報から人流や消費行動などを分析すれば、エリアマネジメントに利用できる。購買情報には顧客の個人情報はひも付いていない。

 キャッシュレスサービスは、「NEC クロスドメイン型デジタルサービス構築プラットフォーム」として提供するサービスの第1弾になる。宿泊事業者だけでなく、レンタル事業者や配送業者などが持つデータも蓄積し、地域活性化に向けて来訪者や住民のデータを分析できる基盤にしたい考えだ(図2)。

図2:業種や業界を横断した共創を支援する「NEC クロスドメイン型デジタルサービス構築プラットフォーム」の概要

 基盤として、決済のほかに、各店舗が独自の特典を付与するデジタルクーポンの発行や福引といった機能を追加できる。予約システムなど他システムとの連動についても相談に応じる。今後は自転車などのシェアリングサービスや地域課題のサーベイなどを拡充するという。

 キャッシュレスサービスの利用料金は月額課金制で、導入する店舗数や決済する商品数により変動する。宿泊施設など5カ所と施設店舗など20カ所に導入する場合で月額25万円(税別)から。初期導入費やシステム導入費が別途必要になる。NECソリューションイノベータは3年間で全国200エリアへの導入を目指す。