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建設業界のためのグローバルなデータ共有とアプリの開発・実行基盤、米IBMなどが開発へ

DIGITAL X 編集部
2021年5月4日

建設業界を対象にしたグローバルなアプリケーションの開発・実行基盤を米IBMが建設業界特化のITサービス企業などと共同で開発する。データ共有や、他社製アプリケーション/サービスなどを購入できるマーケットプレイスの機能も持たせる。IBMが2021年4月14日(米国時間)に発表した。

 米IBMなどが開発する「OpenBuilt」は、建設業界を対象にグローバルなデータ共有およびアプリケーションを開発・実行するためのプラットフォーム。他社製のアプリ/サービスの利用・流通を可能にするマーケットプレイス機能も持つ。建設業に携わる企業は、独自のソフトウェアを開発することなく、企業間のコラボレーションやプロセスの自動化が可能になるという。

 OpenBuiltを開発するのは、米IBM/米Red Hatと、建設業界特化のITサービス会社のノルウェーCobuilderの3社。建設業が必要とする資材やサービスなどを提供する企業とパートナーシップを結びエコシステムを構築する。

 パートナーとして参画するのは、メキシコの建築資材会社CEMEX、流通・製造/サービス業向けグローバルネットワークを提供するルクセンブルクのEDIN Network、建設や改修、保守などを手がける英Sol Services、建設・不動産開発企業のノルウェーBacke、材料や製品、技術の検査・認定サービスを提供する英Element Materials Technologyの5社だ。

 開発では3つの主要分野に焦点を当てる。(1)OpenBuiltの設立、(2)独立系ソフトウェアベンダーの統合、(3)「フラッグシップアプリケーション」の開発である。

 OpenBuiltの利用企業は、ドラッグ&ドロップのインタフェースによりワークフローを構築することでアプリケーションを開発できる。利用企業が必要とする主要機能も用意する。OSS(オープンソースソフトウェア)やセキュリティ機能、大企業が求めるインフラ機能などだ。ERP(統合基幹業務システム)など基幹系システムの稼働にも対応するという。

 データに対しては、Cobuilderが提供する「データテンプレート」を使って専門用語の一貫性を維持する。すべてのデータは、既存システムと将来システムのいずれとも相互運用性が持てるよう構造化する。

 独立系ソフトウェアベンダーの製品/サービスも統合していく。IBMのAI(人工知能)サービス「Watson」やブロックチェーンなどのほか、米SalesforceのオープンAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を統合し、利用企業のワークフロー内で利用できるようにする。

 すでに、BIM(Building Information Modeling)/デジタルツイン環境(英3D Repo製)や、プロジェクト管理(英Asite製)、建築工事・保守サービス(米Facilio製)、仕様書作成のための建築資材の検索・調査サービス(英SpecifiedBy製)、AI技術による健康/安全に関するアドバイス(英Intuety製)などの統合が決まっている。これら機能を使ったアプリケーション開発ができる。

 フラッグシップアプリケーションには、建築資材に関する技術データを検索・フィルタリング・分類する機能を持たせる。利用企業は、機能や安全性、環境性などの業界ガイドラインを満たす仕様の資材をすぐに見つけ出し、建物の設計・建築・保守に利用できるという。この検索などの機能においても、Cobuilderのデータ辞書システム「Define」を使うことで言語の共通化を図る計画だ。

 OpenBuiltは、コンテナ対応ソフトウェアの開発/実行環境「Red Hat OpenShift」(米Red Hat製)上に構築し、パブリッククラウドサービス「IBM Cloud」上で動作する。