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日本人はデジタル技術の活用に自信がない、米PwCの調査

DIGITAL X 編集部
2021年5月6日

日本人は、将来の仕事に対し悲観的で、新しいテクノロジーの活用に自信がなく、新しいスキルの習得への自信も低い--。こんな調査結果を米PwCがまとめた。この傾向は諸外国に比べて最も高いという。2021年4月21日に発表した。

 米PwCの『デジタル環境変化に関する意識調査』は、加速するデジタル化の波が働く環境をどう変えていると感じているかを調査したもので、今回が2回目。世界19カ国の3万2517人を対象に2021年2月に実施した。男女比はほぼ同率で、世代は各世代に分布している。日本からの回答者は2001人である。

 将来の仕事について日本からは「楽しみだ」「自信がある」とする肯定的な回答が26%に留まり、19カ国中で最も低かった。世界平均は50%で、最高はインドの75%である。

図1:将来の仕事について「楽しみだ」「自信がある」と肯定的な回答者の割合

 職場に導入される新たなテクノロジーに順応できるかどうかの自信について、全世界では「自信がある」が80%、「自信がない」が14%であるのに対し、日本では「自信がある」は42%、「自信がない」は40%であり、新たなテクノロジーへ順応する自信が諸外国に比べて低い。新しいスキルの獲得についても同様の結果になっている。

図2:職場に導入される新たなテクノロジーへの順応に対する自信の有無

 ただし、テクノロジーへの順応への自信は性別や年代によって異なる。日本の回答では、自信が高いのは女性より男性のほうで、年齢層別では若年層ほど自信が高くなる傾向がある。雇用形態別では、個人事業主とフルタイムの被雇用者は比較的自信があるのに対し、非正規雇用の労働者は自信が低かい。

図3:新たなテクノロジーへの順応に対する自信の属性による違い

 リモートワークについても「現在の仕事について、高度なテクノロジーを使用してリモートで実行できる仕事の要素があるか」という問に対し、「ある」とする回答は、日本は40%で最も低い。他国では「ある」が過半数を超える。

図4:リモートで実行できる仕事の要素に対する見方

 こうした調査結果に対しPwCは、日本では、社会人に対し未来の仕事に前向きになれるような情報発信がより一層必要であり、テクノロジーに対する自信を高められるように、デジタル関連スキルを高める施策の展開・強化が必要だとする。そこでは「継続的なスキル向上が必要だ」という健全な危機意識づくりが課題だともいう。

 経営者にあっては、性別や年齢、雇用形態に関係なく、デジタル分野でのスキル向上の機会を公平に提供する施策の展開が求められるとする。リモートワークの普及に向けては、業務改革だけでなく社会人の意識改革も検討の余地があるとしている。