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気象データの分析に特化したクラウドサービス、ウェザーニューズが開始

DIGITAL X 編集部
2021年5月10日

過去の気象データを1kmメッシュで分析するためのクラウドサービスをウェザーニューズが2021年4月22日に開始した。気象データと分析技術を提供する「WxTech(ウェザーテック)」サービスの1メニューで、気温や風速、降水量など11要素の天気データを1kmメッシュで約38万地点分を使った分析ができる。同日に発表した。

 「WxTech(ウェザーテック)」は、ウェザーニューズが2020年6月にスタートした気象データの提供サービス。これまでに100社超が導入している。ただ過去の天気データに関する問い合わせが全体の4割を占めるほか、分析や試験に利用したいとする声がおおいことから、気象データを利用企業自身が選択し分析できる「気象データウェアハウス」として提供することにした(図1)。

図1:「WxTech気象データウェアハウス」サービスの概要

 提供するのは、分析目的に合わせて編成した1時間ごと1kmメッシュの天気データ。全国約38万地点分、全11要素(天気、気温、降水量、湿度、風速、風向、気圧、日射量、日照時間、体感温度、体感指数)を含み、独自の気象予測モデルで計算した結果を、全国1万3000地点の気象観測網とウェザーリポーターの天気報告や体感報告をもとに再解析している。

図2:ウェザーリポーターから得た体感報告から解析した独自データの例。左が1kmメッシュ、右は20kmメッシュ

 例えば、食品・衣料品メーカーであれば、売り上げデータと組み合わせたマーケティング分析に利用できる。店舗や商圏の実際の気象状況に近いデータを用いることで、生産や仕入れ、販売促進において最も効果的なタイミングを狙えるとする。AI需要予測システムの機械学習モデルに適用すれば精度の向上が期待できるという。

 不動産・建築業者であれば、店舗やビル、ショッピングモールといった施設を建設する前に、周辺環境を細かくシミュレーションできるし、保険業界なら周辺の土地データと組み合わせることで気象リスクを事前に把握できるとしている。

 すでに大手自動車メーカーが2021年4月から利用を始めている。自動運転車のハンドルやカメラなどのデータに天気データを組み合わせることで、走行技術やセンシング技術の向上を図るという。

 サービスはサブスクリプション型で提供し、契約期間中は何度でもデータを取得できる。データ量が大きいため、データの抽出・加工時間を短縮するために、データは利用企業のクラウド環境に置くことを想定する。