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電話やメールなど複数チャネルでの顧客対応を最適化する機能、米Salesforceがサポート用クラウドに追加

DIGITAL X 編集部
2021年5月11日

電話とメール/チャットなどのデジタルチャネルを使った顧客対応を一本化するとともに、その対応に最適なサポート担当者に振り分ける機能を、米Salesforce.comが同社の顧客サポート用クラウドサービス「Salesforce Service Cloud」に追加した。コロナ禍でコンタクトセンターの位置付けやサポート要員の勤務場所が変化していることに対応する。2021年4月21日(米国時間)に発表した。

 米Salesforce.comの「Salesforce Service Cloud」は、顧客サポートのためのクラウドサービス。今回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としてコンタクトセンターの重要性が高まっていることや、サポート担当者の働く場所が在宅になったり、リアル店舗にいたスタッフがコンタクトセンターのサポート要員になったりしていることに対応するための新機能を追加した。

 具体的には、(1)電話とメールやチャット、SNSなどの複数の顧客対応チャネルを統合するための「Service Cloud Voice」と、(2)サポート担当者の配置計画をたてるための「Service Cloud Workforce Engagement」である。

 Service Cloud Voiceは、電話やメール、チャットなど全チャネルからの問い合わせ内容と、CRM(顧客関係管理)システムが管理するデータを1つの画面にまとめサポート担当者に表示するための機能(図1)。通話内容をリアルタイムでテキストデータにするほか、AI(人工知能)技術を使って、次に取るべく行動を推奨する。

図1:電話とメールやチャットなどのやり取りを統合する「Service Cloud Voice」の画面例

 利用企業が導入済みの電話システムと接続するための「Service Cloud Voice for Partner Telephony」も用意する。

 Service Cloud Workforce Engagementは、顧客サービス部門の管理者がサポート担当者のスキルや空き状況、希望に基づいてシフト計画を立てるための機能。そのために、コンタクトセンターに寄せられる問い合わせの量や利用チャネルをAI技術で予測することで、問い合わせ内容に応じた担当者のアサインを可能にするという(図2)。

図2:問い合わせ量などを予測できる「Service Cloud Workforce Engagement」の画面例。グラフの点線部分が予測値

 サポート担当者は、Workforce Engagementが提供するオンライン学習機能を使って、リアルタイムのコーチングやオンデマンドでのトレーニングを受けられる。

 これら新機能はすでに、化粧品メーカーの米Estée Lauderや、歯列矯正用マウスピースなどを販売する米SmileDirectClub、スピーカーメーカーの米Sonosらが利用を始めている。

 Estée Lauderの最高情報責任者であるマイケル W. スミス氏は「電話チャネルをデジタル化することで、ハイタッチサービスをさらに拡張し、アドバイザーが、インテリジェントで自動化されたシステムに支えられ、顧客に寄り添ったサービスを提供できるようになった。Workforce Engagementによって、世界中のあらゆるチャネルでのサポートを計画、最適化できるようになった」と語る。

 SmileDirectClubの最高情報責任者、ジャスティン・スキナー氏は「AIを搭載したワークフローにより、キュー(待ち行列)の管理プロセスなどが合理化され、案件追跡が顧客に見えるようになった」とし、SonosのCEOであるパトリック・スペンス氏は「社員全員が自宅で仕事ができ、また顧客へ直接販売する業態へ移行できるようになった。すべての顧客へのサポートを高められた」と述べている。

 なお両機能のほかに、(3)顧客が見ている映像をサポート担当者が共有するための「Visual Remote Assistant」も追加している。顧客と同じを映像を見ることで、言葉や文字での説明が難しい問題にも対処が容易になるとしている。

 Service Cloud Voice for Partner Telephonyと同Workforce Engagementの米国でのサービス開始時期は2021年6月の予定。Visual Remote Assistantは2021年4月22日からサービスを開始している。ただし、日本での一般提供時期は未定である。