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低炭素化に関する特許、米HPE、米Facebook、米Microsoftの3社が無償で公開

DIGITAL X 編集部
2021年5月13日

気候変動問題への対策の1つである低炭素化技術に関する特許を、HPE(ヒューレット・パッカード エンタープライズ)とFacebook、Microsoftの米IT大手3社が2021年4月22日から無償公開している。低炭素社会の実現に取り組むイノベーターの支援策の位置付けだ。発表した4月22日は、地球環境について考える日の「Earth Day」である。

 HPE(ヒューレット・パッカードエンタープライズ)、Facebook、Microsoftの米IT大手3社が無償公開するのは、低炭素エネルギーの生成・蓄積・分配に関連する数百件の特許。各社のSDGs(持続可能な開発目標)に関する計画の一環で、特許権を無償公開することで、研究者や科学者による低炭素経済と持続可能な未来の実現に必要な技術的ソリューションの開発に拍車がかかることを期待する。

 無償公開される特許は「低炭素特許権の不行使誓約(Low-Carbon Patent Pledge)」に基づいている。同制約は、世界の科学界が、気候災害を回避するために温室効果ガスの排出量を迅速に削減するには画期的な技術が不可欠だとする警告を受けて実現された。今後も、新しい特許が継続的に追加されるほか、3社以外の企業の参加もあるとしている。

 現時点で公開されている特許は、気候変動に対処するための予防的・適応的な技術をカバーしている。電力管理や、ゼロカーボンエネルギー源の実現、効率的なデータセンターアーキテクチャー、熱管理などの技術が含まれる。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(Net Zero)にするために必要な削減量において、その約半分は現時点では実用化されていない技術を必要とする。

 知的財産法の専門家であるホルヘ・L・コントレラス(Jorge L. Contreras)氏は、「自発的な特許権の不行使誓約が新技術を促進し、世界中での採用を促すことは歴史が証明している。これこそが、壊滅的な影響を及ぼす可能性のある気候変動に対処するために必要な取り組みだ」とコメントしている。