• News
  • 交通

鉄道の運行状況と連動した混雑情報や予測情報、MaaS Tech Japanが公開

DIGITAL X 編集部
2021年5月19日

交通データと人流データを組み合わせた混雑情報を、MaaS(Mobility as a Service)関連技術の開発などを手掛けるMaaS Tech Japanが2021年4月22日から公開している。平常時の混雑予測にほか、公共交通機関の遅延に伴う突発的な混雑に関する情報も提供できるようにした。同日に発表した。

 MaaS Tech Japanは現在、移動に関する情報を統合するためのデータ基盤「TraISARE」を開発している。このほどβ版を完成させ、その活用例として、公共交通機関の運行状況を加味した混雑情報を提示するダッシュボード「PeopleFlow」を公開した。

 PeopleFlowは、平常運行の混雑予測情報と遅延などが発生した時の混雜参考情報を提供する(図1)。人の流れをTraISARE上で移動情報として扱うことで、「どこからの流入が多いか」といった移動経路を加味して分析することで、混雑状況の分析・予測の精度を高めている。

図1:PeopleFlowによる混雑状況の可視化例

 遅延などが発生した際は、リアルタイムな情報と過去の情報の類似度を判定し、最も類似度が高い過去の混雜情報・在線情報を統計処理および機械学習することで混雑予測情報を提供する(図2)。

図2:PeopleFlowによる遅延発生時などの混雑予測の例

 一般的な混雑情報は、人流データはスポット的な位置情報として扱うため、その場所に、どの程度の人が滞在していたかをベースに提供され、経路が加味されていない。また遅延など突発的な要因が生じた際などは混雑情報の予測ができなかったという。

 PeopleFlowが分析に利用しているデータは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の首都圏エリアにおいて公共交通オープンデータ協議会が持つ鉄道駅・路線データと、ゼンリン/ゼンリンデータコムが所有する混雑統計データ。両データをTraISARE上で組み合わせて分析する。

 混雑統計データは、NTTドコモが提供するスマホアプリの利用者から許諾を得た上で、携帯電話から送られる位置情報を総体的かつ統計的に加工して、個人を特定できないようにしたデータである。

 PeopleFlowが動作するTraISAREは、公共交通やモビリティサービスに関するデータをシームレスに統合・接続し、案内や分析に活用するためのデータ基盤である(図3)。運行情報や需要データなどのリアルタイムデータを可視化・分析して各種アクションの策定に役立てたり、蓄積データの統計処理や機械学習分析、シミュレーションに基づいて計画やオペレーションの改善・最適化に活用したりできるようにするのが目標だ。

図3:データ基盤「TraISARE」が提供できる移動に関するデータの例

 TraISAREは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の助成を受けて開発している。

 MaaS Tech Japanは今後、TraISAREの開発をさらに進めるとともに、モビリティデータを保有する事業者や自治体を募り、TraISAREの活用例を創出し、サービスの社会実装に取り組むとしている。