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大規模システムに対応するアプリケーションの開発・実行環境、米IBMが提供開始

DIGITAL X 編集部
2021年5月20日

大規模システムにも対応するアプリケーションの開発・実行環境の提供を米IBMが開始した。アプリケーションの実行に必要なシステム環境の設定を自動化することで、利用企業はアプリケーション開発に集中できるという。2021年4月28日(米国時間)に発表した。

 米IBMの「IBM Cloud Code Engine」は、同社のクラウド環境「IBM Cloud」上で提供されるアプリーケションの開発・実行環境。動作環境などを意識する必要がないサーバーレス基盤をフルマネージド型で提供する。イベント型とバッチ型を問わず、開発者はアプリケーションのコーディングに集中できるという。

 そのために、アプリケーションの実行環境に関するサイジングやデプロイメント、セキュリティ保全のほか、要件に合わせた動的なスケールアップ/スケールダウン、クラスタ管理などは、利用者が指定する実行条件を基にCode Engineが自動的に実行する。

 Code Engineは、米ダラス、独フランクフルト、東京のMZR(マルチゾーンリージョン)で利用できる。実行場所を特定の地域に固定したり、3つのMZRすべてに展開し可用性を高めたりができる。

 すでに、スウェーデンの物流技術会社SiB Solutionsや欧州分子生物学研究所(EMBL)がCode Engineを導入しているという。

 SiB Solutionsは、物流倉庫での作業員の働き方を誘導するSaaS(Software as a Service)の開発・実行基盤としてCode Engineを採用した。実行環境を細かく制御することで、仕様通りにアプリケーションを稼働できるなど、開発者の負担を軽減できたという。

 EMBLは、糖尿病や癌などの新たな治療法を発見するためにCode Engineを利用する。EMBLが開発したOSS(オープンソースソフトウェア)を使ったクラウドサービス「METASPACE」では、分析対象のデータセットが大きく、利用者が増えればより高い処理能力が求められる。そのためのインフラとしてCode Engineを採用することで、拡張性を高めながらインフラコストやリソースプランニングに必要な労力を削減できたとする。

 Code Engineの利用料金は、アプリケーションの実行時にのみ発生する。Code Engineのリソースを消費しなければ課金されない。課金額はアプリケーションの実行負荷によって消費されるメモリー容量や仮想CPU能力、HTTPコールに基づいて算出される。