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デジタルスキルの自己評価が低い日本のビジネスパーソン、米ガートナーの調査
日本のビジネスパーソンは、デジタルスキルの自己評価とワークプレイス系アプリケーションの活用率が世界で最低レベル--。米調査会社ガートナーが、こんな調査結果を発表した。在宅勤務における個人の生産性に関する自己評価も日本人は低かった。同社日本法人が2021年5月10日に発表した。
米ガートナーの『Gartner 2021 Digital Worker Experience Survey』は、テクノロジーやワークプレースについて、従業員の利用動向や体験の把握を目的とした調査。世界の主要9カ国(米国、英国、独、仏、日本、中国、印、豪、シンガポール)で従業員数が100人以上の組織に所属する正社員1万80人を対象に、2020年11月から12月にかけて実施された。
ビジネス用途のデジタルテクノロジーに関するスキルに対する自己評価において、自らを「素人」もしくは「中程度」と回答した従業員の割合は、日本は62%で9カ国中最も低かった(図1)。「エキスパート」を自認する割合は4%で、世界平均の約18%から14ポイント下回る。
仕事で利用するワークレプレース系アプリケーションツールの活用率においては、毎日利用している従業員の割合が、日本は他国に比べて低い。ガートナーはワークプレース系アプリケーションツールを4カテゴリーに分けており、3つのカテゴリーで最低だった(図2)。
4カテゴリーは、(1)コラボレーションツール:Webex、Zoom、Slack、Microsoft Teamsなど、(2)情報共有ツール(クラウド・ストレージ):Dropbox、Google Drive、Box、Microsoft OneDriveなど、(3)トレーニング/ラーニングツール:CourseLab、EasyGeneratorなど、(4)リアルタイム・モバイルメッセージング:WhatsApp、WeChat、Slack、LINEなどである。
リモートワークなどが従業員や組織の生産性に及ぼす影響について、2020年1月以降に在宅勤務時間が増えたとする従業員のうち、世界では36%が「非常に上がった」か「やや上がった」と回答し、最も高いインドの49%に上る。これに対し日本は14%で最低。逆に、生産性が「非常に下がった」「やや下がった」と答えた割合は39%と最も高かった(図3)。
生産性向上の要因としては「勤務時間の柔軟性」を回答者の43%が選択している。
2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大などによりテレワークが本格敵に進み、種々の働き方を可能にするワークプレース系アプリケーションの利用が加速した。海外では日本を上回る速度でデジタルツールの活用が進んでいるようだ。
アナリストでバイス プレジデントの志賀 嘉津士 氏は、「デジタルワークプレースの実現にはテクノロジーの導入に加え、従業員のデジタルスキルを向上させる取り組みの2本柱が必要だ。世界の国々はCOVID-19が蔓延する状況下で、デジタルテクノロジーのさらなる活用を進め1人ひとり生産性を向上させている。日本の経営者は、この結果に危機意識を持って、早急に従業員のデジタルスキルの向上に注力すべきだろう」と指摘する。