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工場用ロボットのデータ共有基盤にブロックチェーン技術を適用、Datachainが開発

DIGITAL X 編集部
2021年5月31日

工場で稼働するロボットのデータを、利用者やメーカー、インテグレーターなどの間で安全に共有するための基盤を、ブロックチェーン技術を手がけるDatachainが開発し実証実験を実施した。ブロックチェーン技術を適用することで、稼働状況を把握するためのコストの低減や、トラブル発生時の早期対応への有効性を確認できたという。2021年5月14日に発表した。

 ブロックチェーン技術を研究開発するDatachainが構築したのは、工場内で稼働している複数メーカー製のロボットの稼働状況を示すデータを関係者間で共有するための基盤。このほど、工場設備のトラブルの未然防止や予兆管理、トラブル発生時の対応精度の向上などを目標にした実証実験を、ロボットの大手グローバルメーカーと共同で実施した。

 データ共有基盤は、ブロックチェーン技術を使って構築した。ロボットを導入している製造業の本社や工場のほか、ロボットのメーカーや、工場システムのメーカーといった関係者間で、ロボットの稼働状況を共有できるようにするのが目的だ(図1)。一般には、必要な情報が、会社や部署ごとに分散して保存されているという。

図1:ロボットの稼働状況を関係各社が共有するための基盤をブロックチェーン技術を使って構築した

 実証実験の結果、(1)設備の稼働状況の確認コストの低減、(2)トラブル発生時の早期対応の2つの観点で有効性が認められたという。稼働状況の確認では、関係者がデータ共有基盤を介して経過を時系列で把握できた。トラブル対応では、ロボットのプログラムや現場の画像をロボットメーカーなどと共有することで原因究明にも有効活用できるとしている。

 共有基盤にブロックチェーン技術を採用したことは、不正や改ざんのリスク低減につながっていると評価する。将来的には、ロボットのデータに限らず、スマート化が進む工場全体のデータ共有基盤になるよう拡張したい考えだ。

 ブロックチェーン技術としては「Hyperledger Fabric」(v2.0系)を利用している。そのうえで(1)データの秘匿性を管理するためアクセスコントロールを実現する「Private Data Collection」と(2)工場設備へのアクセス権限を管理するためにアクセス権限をチェーンコードに保持する「key-level endorsement policies」を活用している。