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自動運転における事故リスクを事前評価するサービス、損保ジャパンなどが開始

DIGITAL X 編集部
2021年6月1日

自動運転における事故の発生リスクを事前に評価するサービスを損保ジャパンなど3社が2021年5月に開始した。仮想空間で天候や時間帯などの走行条件を変えながらリスクを測定し、定量的かつ早期に評価できるという。2021年5月18日に発表した。

 「自動運転向けデジタルリスクアセスメント」は、自動運転の実証実験の計画段階において、走行ルート案における危険シナリオを洗い出し、それらの危険度を評価することで、予防対策を事前に講じるためのサービス。コンピューター上で、天候や時間帯などの走行条件を変えながら、自動運転をシミュレーションし事故のリスクを測定する(図1)。リスクを定量的に評価でき、調査期間も1週間程度に短縮できるとする。

図1:「自動運転向けデジタルリスクアセスメント」における走行シミュレーターの画面例

 損害保険ジャパン(損保ジャパン)と、3D(3次元)地図などを手がけるアイサンテクノロジー、自動運転システムなどを手がけるティアフォーの3社が共同で開発した。損保ジャパンの事故データや事故対応ノウハウと、アイサンテクノロジーの3D地図技術、ティアフォーの自動運転システムの開発能力を組み合わせた。データの蓄積による分析力向上も期待できる。

 3社によれば、自動運転車の走行に関するリスクには、(1)センサーの誤検知といった技術的なリスク、(2)サイバー攻撃が引き起こすリスク、(3)テストドライバーによる操作過誤などの運用上のリスク、(4)走行環境により引き起こされるリスク、(5)関係者の認識不足による法令やガイドラインへの抵触リスクなどがある。

 これらに対応するために自動運転向けデジタルリスクアセスメントでは以下のメニューを用意する。(1)走行ルート調査、(2)自車位置推定の精度調査、(3)通信環境調査、(4)危険回避調査、(5)過去の事故データを活用したリスク調査、(6)ガイドラインなどの適合確認や報告書などの作成支援である。

 走行ルート調査は、シミュレーションにより、自動走行の危険度合いを解析するもの(写真1)。そのための3D地図は、車両搭載型の移動計測装置MMS(モービルマッピングシステム)を使って、周辺の3D座標データと連続映像から作成する。

写真1:点群データを基に予知した危険箇所などの数値的調査の例

 自車位置推定の精度調査は、走行ルートの観測データを基にGNSSシステム(全球測位衛星システム)を用いて精度を評価する(図2)。通信環境調査では、走行ルートを網羅する通信環境状態を調査する。

図2:自車位置推定調査の画面例

 危険回避調査は、自車位置推定調査や走行時における危険予測を評価する。走行シミュレーターを使って、実際の走行ルートに近付けた自車位置推定調査に必要な環境を再現し、そこで得たデータを自動運転用のOSS(オープンソースソフトウェア)である「Autoware」のシステムに反映する。

 過去の事故データを活用したリスク調査では、損保ジャパンが保有する過去の事故情報や危険運転情報などを使って、走行ルート上の危険な場所を可視化する。その場所で、なぜ事故が起きたのかの因果関係まで深掘りすることで、リスクの発生シナリオを明確化し、リスクを類型化する。

 ガイドラインなどの適合確認や報告書などの作成支援では、自動運転の社会実装に向けた課題提言や、報告書類などの作成をする。

 3社は本サービスをまず、国が進める未来技術社会実装事業として選定された奈良県三郷町へ提供する。その後、全国各地で実施される自動運転実証への提供を進める。今後は、リスクアセスメントを含む自動運転支援サービスの開発を進め、2025年度をメドに公道での自動運転走行を可能にしたいとしている。