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店頭での会話と行動から購買欲求を解析するサービスのトライアル版、DNPが提供開始

DIGITAL X 編集部
2021年6月2日

接客時の会話と来店客の行動データから、生活者の潜在的な購買欲求を解析・可視化するサービスのトライアル版を大日本印刷(DNP)が2021年5月18日から提供している。新しい買い物体験を提供するためのサービスとしての商品化を目指す。同日に発表した。

「DNP店舗内CX解析サービス」のトライアルパッケージを提供開始すると発表した。

 大日本印刷(DNP)の「DNP店舗内CX解析サービス」は、店頭での店員と顧客を会話内容の録音データと、顧客の行動を撮影したカメラ画像から、顧客の潜在的な購買欲求を分析・可視化するもの(図1)。店内での顧客の購買行動や商品への反応をリアルタイムで把握することで、CX(Customer Experience:顧客体験)の価値を高められるようにする。トライアル版の提供を2021年5月18日に開始した。

図1:店内に設置するマイクとカメラでデータを取得し顧客の潜在的なニーズを可視化する

 DNP店舗内CX解析サービスでは、店内にマイクとカメラを設置し、接客時の音声データと顧客の行動データを取得する。両データを解析し、ダッシュボードに可視化するほか、顧客の潜在的な購買欲求を分析するための情報として、サービスの利用企業にフィードバックする。解析したデータは、マーケティング活動や商品/サービス、および店頭での販促施策の改善、店員の教育や接客スキルの平準化などに利用できるという。

 DNPは現在、企業が顧客の1人ひとりに最適なタイミングに、最適な情報を届けるためのサービスを提供しており、特に商品/サービスの価値を高め新しい買い物体験を提供する「ストアDX」に注力している。

 その一環で2019年11月には東京・渋谷に、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みを体験できるショールーミング店舗「boxsta」を開設。店内での顧客の回遊行動や、展示品に対する接客時の会話/反応をマーケティングデータとして収集する実証実験を実施した。

 今後は、DNP店舗内CX解析サービスを流通・小売業やメーカーに提供しながら、店舗や接客条件の違いなどを加味して、マーケティングに必要なデータの取得と解析精度を高める考えだ。

 今回のトライアル提供を経て、2022年には本サービスとしての提供を開始する予定で、想定する料金は、マイクによる接客会話データの取得・解析が300万円(税込)から。2023年度までに関連サービスも含めて約20億円の売り上げを目指す。

 コロナ禍を1つの契機として流通・小売業やメーカーでは、店頭などのリアルな場所を、商品/サービスの販売場所としてだけでなく、顧客の興味・関心を探るマーケティングや、企業価値を高めるブランディングのための空間へと変える動きが加速しているという。