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種々の交通関連情報をやり取りできる乗換点用のサイネージ機器など、DNPが開発

DIGITAL X 編集部
2021年6月7日

公共交通や小型モビリティなどの交通手段の乗換点などに設定するサイネージ機器などを大日本印刷(DNP)が開発した。スマートフォンとも連携し、交通手段の予約や呼び出しなども可能にする。複数のモビリティ関連の実証実験にも利用されている。2021年5月26日に発表した。

 大日本印刷(DNP)が開発した「DNPモビリティポート」は、公共交通やシェアリングサービスなど複数の移動手段が交わる「交通結節点」での利用を想定したサイネージ機器。駅や地域の商業施設などに併設し、停留所や乗換所として利用する(図1)。デジタルサイネージのほか、スマートフォンと連携し、交通情報や地域情報の配信、モビリティサービスの予約などを可能にし、地域内の回遊を促す。

図1:複数の移動手段をつなぐ交通結節点となる「DNPモビリティポート」のイメージ

 例えば、デジタルサイネージやスマートフォンへの地域情報や公共交通の運行情報などの配信、オンデマンド型のバス・タクシー・小型モビリティの予約や呼び出し、乗降場所の設定、シェアサイクルの予約や施錠/解錠などが可能になる。関連施設の予約やデジタルキーの配信にも対応する(図2)。

図2:DNPモビリティポートによる、交通・サービス・モビリティの連携イメージ

 DNPモビリティポートはすでに、いくつかの実証実験に導入されている。静岡市での「静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクト」や、三重県・菰野町観光協会の「3密回避に向けた最先端技術活用実証事業」、東京都渋谷区における社会実験「Shibuya Mobility and Information LoungE(SMILE)」などである(表1)。

表1:DNPモビリティポートが利用されている実証実験の例
実証主体/地域プロジェクト名実施時期概要
静岡市静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクト2020年11月~12月JR草薙駅とJA清水厚生病院の2カ所に、通信型タッチパネル式屋外サイネージとして設置。AI(人工知能)技術を使ったオンデマンド交通サービスの乗降ポイントとして、車両の位置情報の可視化やタッチパネルによる予約機能などを提供した
三重県・菰野町観光協会3密回避に向けた最先端技術活用実証事業2020年12月~2021年3月菰野町の観光スポット6カ所にデジタルサイネージとして設置。小型モビリティの発着点として、AIカメラによる混雑情報の確認や、小型モビリティの貸し出し状況の可視化などの機能を提供することで、観光客の行動変容を促した
東京都渋谷区「Shibuya Mobility and Information LoungE(SMILE)」2021年6月下旬より実施予定東急百貨店本店前にデジタルサイネージとして設置。Nikken Wood Labの木材ユニット「つな木」と連動した空間をつくり、電動キックボード「LUUP」のポートとして活用する。バスや相乗りタクシー、LUUPの情報に加え、奥渋谷エリアに関する情報を発信し、周辺地域への回遊を促す

 DNPは今後、地方自治体や内閣府が推進するスーパーシティ構想におけるサービスやデータとの連携も想定する。

 スマートシティ/スーパーシティの取り組みにおいて、モビリティは大きなテーマの1つ。高齢者や観光客を含む種々の利用者の交通利便性や、地域での人々の回遊性を高めようと、公共交通やデマンドバス/デマンドタクシー、電動キックボードなどの小型モビリティ、シェアサイクルなど、種々の移動手段の連携が考えられている。

 これらモビリティの連携を促すことは、都市交通における混雑の分散や迂回、郊外交通における交通難民の解消が図れるほか、自家用車の利用減少による渋滞緩和やCO2削減にも寄与すると期待されている。