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水質や魚体サイズを計測する養殖業向けIoTサービス、アイエンターが開始

DIGITAL X 編集部
2021年6月9日

養殖業における水質監視や魚体サイズを推定するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービスを、システム開発会社のアイエンターが2021年5月27日に開始した。これまで個別に提供してきた技術をマリンテック事業として「i-ocean」ブランドで展開する。同日に発表した。

 システム開発会社、アイエンターの「i-ocean」は、海上および陸上での養殖業を対象にしたIoTサービス。山口県下松市や愛媛県宇和島市などで5年前から実証実験を進めてきたもので、給餌量の最適化によるコスト削減や、生産活動の省力化・省人化、担当者のスキルに依存しない生産性の向上などが期待できるという。

 i-oceanは、養殖用生簀の水質を自動で計測する「IoT水質センサー」と、養殖魚の大きさを測る「魚体サイズ算出装置」からならなる。

 IoT水質センサーは、各水質センサーで計測したデータを、3G回線やWi-Fiでクラウド環境の「AWS(Amazon Web Services)へ蓄積し、水質データをリアルタイムで可視化するサービス(図1)。水温、溶存酸素、導電率(塩分濃度)、クロロフィル、pH、ORP(酸化還元単位)、濁度といった水質の変化をグラフや一覧で表示し、異常時にはアラートを発信できる。

図1:「IoT水質センサー」のシステム概要

 魚体サイズ算出装置は、可搬型の水中ステレオカメラを使って魚を撮影し、ディープラーニング技術により魚体を検出すると同時に、魚の体長と体高を測定するサービスだ(図2)。非接触での測定のため、魚への負担がなく、計測作業による魚の斃死や魚病リスクを回避できる。データはデータベースに保存し、分析できるようにする。

図2:「魚体サイズ算出装置」が体長と体高を測定する

 アイエンターによれば、海面/陸上養殖では、生簀内の水温や酸素含有度といった水質が魚の生育に大きく影響し、水質のモニタリングが欠かせない。ただ、水温や匂い、色の変化など熟練者の経験に頼ることが多く、時間や人手がかかるほか、属人化による後継者不足などの課題がある。