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現場作業を3Dマニュアルで支援するARシステムの導入支援サービス、NTTデータが開始

DIGITAL X 編集部
2021年6月9日

製造や保守・点検、流通などの現場作業を対象に3D(3次元)マニュアルをAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使って提供するシステムの導入支援サービスをNTTデータが2021年5月28日に開始した。作業員の能力レベルに依存しない作業の実施を可能にする。同日に発表した。

 NTTデータが始めたのは、現場作業に必要なマニュアルをAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使って提供するシステムの構築支援サービス。現場作業者が持つデバイスで撮影した映像に、作業の対象機器や操作手順を「3D(3次元)マニュアル」として重ねて表示する(図1)。作業員の能力に依らない作業の実施や、遠隔地からの作業の補助や監視、事前トレーニングなどを可能にする。

図1:3DマニュアルをAR技術を使って作業現場に届ける

 3Dマニュアルの提供環境としては、作業支援基盤「WorkLink」(米Scope AR製)を使う。作業員は、タブレット端末またはスマートグラスを使って3Dマニュアルを参照できる。作業対象の機器に「矢印」などの指示を重ねて表示する「ARアノテーション」や、熟練者などによる遠隔からの映像/音声による指示も受けられる。作業履歴の記録にも対応する。

 WorkLinkの導入支援に加え、3Dマニュアル自体の作成支援や、他システムとの連携サービスも提供する。

 3Dマニュアルの作成支援では、既存の製品マニュアルや保守作業の手順書からWorkLink用3Dマニュアルを作成する。3D CAD(コンピューターによる設計)データがない場合は、対象機器をスキャンし3Dマニュアルに取り込む。

 作成では、文書読解AI(人工知能)サービスの「LITRON」や、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)ツールなどを使って、3Dマニュアルの作成時間を短縮する。既存マニュアルからテキストデータや知識を自動抽出することで、3Dマニュアルの作成時間を最大90%短縮できたという。

 他システムとの連携では、現場作業の円滑化や進捗管理などを想定する。例えば、ITシステムの運用管理ツール「ServiceNow」(米ServiceNow製)と連携すれば、現場作業のタスクに応じてWorkLinkが持つ適切な3Dマニュアルを呼び出したり、WorkLinkが記録した作業時間などをServiceNow上で分析したりが可能になる(図2)。

図2:「WorkLink」とITシステムの運用管理ツール「ServiceNow」を連携した際の業務プロセスの例

 今後は、故障自動判定に向けたコンピュータビジョンとの連携なども開発するとしている。

 NTTデータは本サービスを2024年度末までに100社以上への販売を目指す。