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SDGsなど社会課題解決に向けたAI活用、京都大学とアクセンチュアが共同研究

DIGITAL X 編集部
2021年6月11日

SDGs(持続可能な開発目標)など社会課題を解決するためのAI(人工知能)技術の活用に向けて京都大学はアクセンチュアと協業する。災害対策や、宇宙現象によるビジネス被害の軽減、健康・福祉の増進、気候変動などについて共同で研究する。2021年5月28日に発表した。

 京都大学がアクセンチュアとの協業で進めるのは、社会課題の解決に向けたAI(人工知能)技術の活用。SDGs(持続可能な開発目標)の実現に寄与するAIモデルを共同で開発する。併せて、データに基づく意思決定が下せる人材の育成にむけて、学部生や院生、研究者を対象に、アクセンチュアのAI人材育成プログラムを2021年6月から開始する。2022年度以降は3年間にわたる講義の開講を目指す。

 共同研究に取り組むのは、京都大学の総合生存学館ソーシャルイノベーションセンター(京大SIC)とアクセンチュア日本法人のAIセンター。アクセンチュアのAI技術の専門家が京都大学の研究員として研究プロジェクトに参画するなど人材交流も図る。

 京大SICのセンター長である積山 薫 氏は「SICは社会変革や地球規模課題への学術面からの貢献を図っている。アクセンチュアとの協業を通して、民間企業や社会と連携したイノベーションを目指す取り組みをさらに進めていく」と述べる。

 アクセンチュアのAIセンター長である保科 学世 氏は、「企業や行政は各組織内での活動に閉じず、俯瞰的な目線で連携してエコシステムを組み、社会課題に立ち向かうことが求められる。京大SICとアクセンチュアは両者の知見を融合し、AIを活用した社会課題解決に取り組んでいく」とする。

 研究対象にする社会課題としては、(1)災害対策、(2)宇宙現象が引き起こすビジネス被害の軽減、(3)健康と福祉の増進、(4)気候変動への対策を挙げる。

 災害対策では、各種気象情報や地球観測データにICT(情報通信技術)/AI技術を組み合わせる。自然災害に対する社会のレジリエンス(回復力)を高めるために、ハザードマップなどのリスク情報を詳細に把握できるようにする。

 宇宙現象の被害軽減では、太陽面爆発現象や宇宙放射線について、ビジネスへの被害を軽減できるような新たな仕組みを構築する。これらの宇宙現象は、大規模停電や人工衛星損壊などを引き起こし莫大な損失を与える恐れがあるという。

 健康と福祉の増進では、労働者や高齢者のウェルビーイング(主観的幸福)の向上について研究。気候変動への対策では、中長期の気候変動に対する企業のBCP(事業継続計画)や環境負荷低減に関する共同研究を検討する。

 前者は、SDGsが掲げる17の目標のうち「3.すべての人に健康と福祉を」に、後者は「13. 気候変動に具体的な対策を」に寄与するものだ。