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量子技術を活用するための産官学連携の協議会、2021年夏に設立

DIGITAL X 編集部
2021年6月11日

組み合わせ問題などを高速に解けるとして期待が高まる量子コンピューター。その開発を含め量子技術を新産業に応用するための産官学連携の協議会が2021年夏にもスタートする。NTTやトヨタ自動車など11社が参画し、設立発起人会を2021年5月31日に開催した。

 2021年夏の設立を目指すのは「量子技術による新産業創出協議会」。業界の垣根を越え、量子技術を応用することで新産業の創出を目指し、日本の産業振興と国際競争力の強化を図るのが目的だ。2021年5月31日に、設立発起人会を開催し、参画企業や専門家を募る(写真1)。発起人会の会長には、東芝 取締役会長 代表執行役社長 CEOの綱川 智 氏が就いた。

写真1:「量子技術による新産業創出協議会」設立発起人会 記者会見参加者

 発起人には、ITベンダーのほか、自動車・化学・金融の事業会社の計11社が名を連ねる。具体的には、東芝、日本電気(NEC)、日本電信電話(NTT)、日立製作所、富士通のITベンダーと、JSR、第一生命ホールディングス、東京海上ホールディングス、トヨタ自動車、みずほフィナンシャルグループ、三菱ケミカルホールディングスの事業会社である。

 協議会は、新技術の応用と関連する技術基盤を確立し、最終的に産業に応用するための企画・検討に取り組む。そのために、量子技術に関わる基本原理や基本法則を改めて整理し各種アルゴリズムを正しく理解したり、産業構造や制度・ルールなどに関する検討課題を洗い出し、調査・提言をしたりする。

 基盤技術としては、量子コンピューターや、量子通信に必要な材料・デバイスなどを調査・検討するほか、量子技術に関連する人材の育成についても調査・企画・提案をしていく。

 なお協議会が現時点で有望視している技術と適用範囲を表1に示す。

表1:量子技術による新産業創出協議会が有望視する関連技術と適用先
技術/アルゴリズム適用先
量子波動・量子確率論応用量子振幅推定、組み合わせ最適化問題、最近傍探索など
量子シミュレーション(連立方程式、変分)量子計算機暗号・機械学習、組み合わせ最適化問題、量子化学計算など
最適化・組み合わせ問題(量子アニーリング)ポートフォリオ最適化、スケジューリング最適化など
量子暗号・量子通信ネットワーク問題など