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大阪ガス、ガス管の破損防止に向け道路工事を路線バスで検知するシステムを開発

DIGITAL X 編集部
2021年6月11日

大阪ガスは、ガス管が埋設されている道路での工事の有無を自動でチェックするためのシステムを開発し、2021年6月1日に試験運用を開始した。路線バスにカメラとAIエッジデバイスを搭載し、カメラ画像から工事を検知する。2021年5月31日に発表した。

 大阪ガスが開発したのは、道路工事の有無を把握するためのシステム(図1)。道路工事によって埋設されているガス管が破損されることがないよう、大阪ガス以外の事業者による掘削工事を把握し、ガス管破損がないように工事内容を協議するのが目的だ。事前協議を依頼しているものの、連絡なしに実施される工事も少なくない。

図1:道路工事の実施を検知する路線バスに搭載するシステムの概要

 開発した新システムは、工事現場をカメラ画像から検知するAI(人工知能)技術を備えるエッジコンピューター。これを大阪シティバスが運行する路線バスに搭載し、2021年6月1日に試験運用を開始した(図2)。結果を見ながら2021年秋以降の本格運用を開始する予定だ。

図2:システム導入後の運用イメージ

 エッジコンピューターは、走行中に撮影した画像から工事現場の要素を検出し、検出結果と位置情報をクラウドにリアルタイムに送信する。クラウド上で画像・位置情報を工事現場判定ロジックと組み合わせることで、工事個所を地図上に表示する。

 これまでも大阪ガス自身が、パトロール車を使って毎日、巡回しているが、パトロール車の台数や走行範囲には限りがあり、巡回時間外に行われている工事は発見が難しかった(図3)。

図3:システム導入以前の道路パトロールのイメージ

 路線バスは一定の範囲を定期的に走行するため、巡回頻度を高められると期待する。大阪シティバス以外の路線バス会社ともエッジコンピューターの搭載を交渉し、対象エリアを広げたい考えだ。

 新システムは、IoT関連技術などを開発するアプトポッドと開発した。同社製エッジコンピューター「EDGEPLANT T1」を使い、IoTクラウド「intdash」上で工事現場検出用のAIモデルと判定ロジックを開発した(図4)。

図4: IoTクラウド「intdash」とエッジコンピューター「EDGEPLANT T1」を使ったシステムの構成例
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大阪ガス
業種公共
地域大阪市(本社)
課題ガス管を破損する怖れもある道路工事は事前協議を依頼しているが、連絡なしに実施される工事がある
解決の仕組み路線バスに工事を判定できるエッジコンピューターを搭載し、そこから工事現場をリアルタイムに把握する
推進母体/体制大阪ガス、アプトポッド、大阪シティバス
活用しているデータバスに搭載したカメラが走行中に撮影した道路の画像
採用している製品/サービス/技術エッジコンピューター「EDGEPLANT T1」、IoTクラウド「intdash」(いずれもアプトポッド製)
稼働時期2021年6月1日(大阪シティバスでの試験運用開始時期。2021年秋の本格運用を予定)