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IoT利用企業の関心は5Gからローカル5Gにシフト、IDC Japanの調査

DIGITAL X 編集部
2021年6月21日

サービスエリアが拡大する5G(第5世代移動通信システム)に対し、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を利用する企業の関心は、パブリックの5G通信サービスからプライベートのローカル5Gに移っている--。こんな調整結果をIT専門調査会社のIDC Japanが2021年6月4日に発表した。

 IDC Japanが実施したのは、5G(第5世代移動通信システム)の採用や利用に関する調査。国内のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)関連機器のサプライヤーとIoTの利用企業を対象に実施した。

 IoTの利用企業において、「今後、最も重要なネットワーク」としてパブリック5Gとする回答が2019年11月の15.0%から2020年12月は9.3%へと6ポイント近く下落した(図1)。逆にローカル5Gとする回答は2019年11月の8.7%が2020年12月には12.3%へ3ポイント以上、増えている。

図1:IoT利用企業が「今後、最も重要なネットワーク」に挙げる割合

 一方で、無線LANが最も重要になるとする回答比率も、2019年11月の19.0%が2020年12月は28.7%と10ポイント近く増加した。

 こうした結果についてIDC Japanは、パブリック5Gの商用サービスが始まる前の2019年頃に、利用企業の5Gへの期待が過度に高まったものの、2020年以降は、パブリック5Gとローカル5G、無線LANの優劣比較や使い分けが議論されるようになり、それぞれの仕組みへの理解が深まったためとしている。

 今後は、産業分野での5Gの商用導入が2022年頃から始まり、2024年頃に本格化すると予測する。現状は、多くが実証実験段階にあるものの、2022年以降は5G規格の本命とされる5G SA(スタンドアロン)構成のサービスやデバイスなどが増加し、利用環境が整うことで商用導入に踏み切る企業が増えるとみる。

 5Gと親和性が高い技術分野で、2022年前後に照準を合わせた製品開発や規制緩和の検討が進んでいることもある。例えば国内では、2022年にドローンの有人地帯での目視外飛行が解禁される見込みで、主要なAR(Augment Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)ベンダーの多くが2022年に新たなデバイスの投入を計画している。

 これらの動きを勘案しIDC Japanは、国内の産業向け5G関連IT市場の市場規模が2027年に2106億円になるとする(図2)。2020年から2027年の年間平均成長率は80.3%と予測する。同市場規模には、5Gの仕様を必要とし、かつ5G活用を前提にしたITシステム(ネットワークを含む)を構築/運用するためのITインフラストラクチャーやソフトウェア、サービスに対するエンドユーザーの支出を含んでいる。

図2:5G関連のIoT市場規模と年間平均成長率