• News
  • サービス

エッジAIのための独自デバイスを半年間で開発・試作するサービス、HACARUSが開始

DIGITAL X 編集部
2021年7月2日

データ収集やAI(人工知能)システムを実行するための独自デバイスを開発・試作するサービスを、AIシステムなどを開発するHACARUS(ハカルス)が開始した。用途に応じたデバイスのプロトタイプのほか、データの収集・可視化の仕組みやAIシステムの構築を含め半年間で実施するという。2021年6月15日に発表した。

 少ないデータからも精度を高められるAI(人工知能)技術「スパースモデリング」を得意とするHACARUS(ハカルス)の「デバイス試作サービス for Edge AI」は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの構築に必要なデバイスとデータ分析のためのAIシステムを開発・試作するサービス(図1)。データの収集から可視化、データ処理用のAIシステムの開発までを半年間で実施するという。プロトタイプからの量産にも対応する。

図1:「デバイス試作サービス for Edge AI」の対象範囲(左)と、従来型の開発プロセスにおける課題

 デバイス試作サービスは、利用企業のニーズに合わせながら、次の3つのプロセスで進める。(1)データ収集用デバイスを提案・開発しプロトタイプを3台提供する、(2)デバイスで収集したデータを可視化するダッシュボードなどの仕組みを提案・構築する、(3)AIシステムを構築し、既存システムとの連携も支援する(図2)。ここまでが半年間の範囲である。

図2:「デバイス試作サービス for Edge AI」の進行イメージ

 データの収集・可視化、AIシステム運用の実行形態の別に、(1)「クラウドAI」、(2)「エッジAI」、(3)「ハイブリッド」の3つのタイプを用意する。

 クラウドAIは、データの収集・可視化、AI運用のすべてをクラウド上で実施するタイプで、開発コストを抑えたい企業向けという。エッジAIは、すべての処理をエッジデバイスやローカルネットワーク内で完結するタイプで、データセキュリティを重視する企業向けとする。

 ハイブリッドは、データ収集はエッジデバイスで実施し、AIシステムはクラウド上で稼働させるタイプで、利用企業のシステム環境や運用方法に合わせる。

 データ収集デバイスは、画像や温度・湿度など収集が容易なデータだけを対象にするものではない。打音など種々の音や、臭い、振動、ガス、重量、あるいは特殊センサーを使った化学物質など、収集・可視化が難しいデータにも対応する。

 実際のサービス提供に先立ち、企業の課題や導入環境、データ取得方法などのヒアリング調査と、AI技術の利用のカウンセリングを実施し、提供できるサービス内容を提案する。ここまでの料金は無料である。

 本サービスの実施例として、動物用医療機器の開発を挙げる。動物の足裏にある肉球から心電図データを取得し、AIシステムで分析・判定できるようにする(図3)。獣医向けクラウド基盤などを手がけるDSファーマアニマルヘルスと共同開発しているものだ。

図3:動物の足裏から心電図データを取得するためのツールを開発している

 HACARUSによれば、AIシステムを現場に導入するために汎用デバイスの使用を検討したものの、コストやデータの取得環境が特別であるなどの制約から、実装に難航するケースがある。