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電気系統への事故や電気現象の影響を予測・評価するサービス、日立が開始

DIGITAL X 編集部
2021年7月5日

発送電を担う電力系統の設備に対する事故や電気現象の影響を予測・評価するサービスを、日立製作所が2021年6月16日に開始した。自然災害などに起因する故障や停電の防止や、再生可能エネルギーを含めた電力系統の管理を支援する。同日に発表した。

 日立製作所の「電力系統解析サービス」は、電気事業者や、自家発電設備を持つプラントなどを持つ企業を対象に、電力の安定供給を支援するサービス。電力系統で発生する電気事故や電気現象をPC上で予測・再現することで、設備に悪影響を及ぼす事象を確認し、それへの対応や予防、保全のための施策の検討を可能にする(図1)。

図1:「電力系統解析サービス」は、電力系統の故障や停電につながる事象を予測して対策の検討を可能にする

 具体的には、自然現象などに起因する設備の故障や停電を防ぎ、電力の回復力を高めたり、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの併用などに伴って複雑化する電力設備を安定的・効率的に運用したりできるようにする。

 そのために、発電・変電・送電・配電・需要家などの電力系統の設備で起こり得るリスクを予測し、対策を立てるための判断材料を提供する。

 電力系統解析サービスは、次の6つの段階からなり、最短3カ月を目安で実施する(図2)。(1)系統解析の項目の検討と、項目にあった解析ツールの選定、作成すべき解析モデルの決定、(2)解析データの収集と整理・精査、(3)解析モデルの作成、(4)解析の実施、(5)解析結果の確認、検討項目に対する影響確認や評価、(6)レポートの作成と施策の提案である。

図2:「電力系統解析サービス」の6つの段階と検討期間の目安

 解析モデルの精度は、電力系統内の電気設備の仕様や特性、需要家の契約電力などを含めたデータを収集して高める。事前評価は、電気設備や機器の稼働状況を踏まえたシミュレーションにより実施する。

 評価結果に基づき日立は、事故や現象の影響を予見した対策を提案するほか、運用改善や設備増強などの具体策を検討し、それらの導入まで対応する。

 日立は本サービスにより、電力設備に関わるコストの最適化に加え、関連部門の生産性や人材育成にも効果が見込めるとする。

 例えば、財務部門は過大な仕様の設備導入を回避でき、製造部門は設備の検証を系統解析で代替することで設備停止時間を短縮できる。教育部門では、実際の運転や過去の事故事例などを系統解析により疑似体験でき、事象の把握や対応のためのノウハウを学べるという。