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エッジAIのための企業向けマネージドサービス、米NVIDIAが正式に開始

DIGITAL X 編集部
2021年7月12日

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスなどの近くでAI(人工知能)システムを利用するエッジAIのためのマネージドサービスを米NVIDIAが正式に開始する。これまで一部企業に先行して提供してきた。数千単位のエッジ環境にAIアプリケーションを安全に展開・管理できるという。2021年6月22日(米国時間)に発表した

 米NVIDIAの「NVIDIA Fleet Command」は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスなどのデータ収集・制御などをデバイスの近くで実行するためのエッジコンピューターに対し、AI(人工知能)アプリケーションを配布・更新・管理するためのマネージドサービス。正式サービスとして、一般に提供する。

 利用企業は、Fleet Commandが用意するリモート管理ソフトウェアをインストールすれば、管理者はAIアプリケーションの追加・削除、システムソフトウェアのOTA(Over-the-Air)での更新、デバイスの状態監視が可能になる。中央の拠点から数千単位のエッジ環境を対象にできるという。

 Fleet Commandはこれまで、小売業やヘルスケア、ロジスティクスなどの分野で、世界の大手企業や、彼らと連携するソフトウェア企業などには先行して提供されてきた。

 例えば、小売向けロジスティクスを手掛ける仏Bollore Logisticsは、世界に700超ある配送センターにAIシステムを配置するためにFleet Commandを使って、配送センターでの注文処理の精度とスピードを高める取り組みを進めている。

 AIコンサルティング会社の米Data Monstersは、世界最大級の飲料会社が持つ多数の製造施設へのAIソフトウェアの展開・管理にFleet Commandを利用する。製造施設では、画像認識により消費者向け缶製品のへこみや傷を検知し、問題発生時には従業員に通知する仕組みを構築しているという。

 Fleet Commandは、同日に発表された「NVIDIA AI LaunchPad プログラム」の主要ソリューションの1つ。AI LaunchPadは、ハイブリッドクラウドのプロバイダーを通じて提供され、そこからNVIDIAが提供するインフラストラクチャーやソフトウェアにアクセスし、AIシステムのライフサイクル全体を管理できるようにする。

 配布するAIアプリケーションは、開発のためのクラウド環境である「NVIDIA Base Command」と組み合わせることで、エッジAIや産業用AIのアイデアをプログラミングし、早期に展開・管理できるようになるとしている。

 NVIDIAによれば、スマートファクトリーやスマートストア、スマートシティなどIoTの仕組みの採用が広がるなかで、企業が直面する最も複雑な問題の1つが、エッジコンピューターへのAIアプリケーションの展開・管理能力だ。