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分散型電源による地域マイクログリッド用の需給管理システム、住友電工が発売

DIGITAL X 編集部
2021年7月12日

太陽光発電など分散型電源による地域マイクログリッドを最適に運用するための受注管理システムを住友電気工業が2021年7月1日に発売する。複数の需要家間での電力融通に対応し、大規模災害での停電対策としても利用できる。2021年6月23日に発表した。

 住友電気工業の「sEMSA-μGrid(セムザ-マイクログリッド)」は、地域マイクログリッド向けの需給管理システム(図1)。太陽光発電やバイオマス発電などと蓄電池による分散型電源を最適に運用できるようにエネルギーをマネジメントする。複数需要家間の電力融通に対応するほか、大規模災害時の停電対策としても機能することから、エネルギーコストやCO2排出量の削減策として、自治体や工業団地への導入を見込む。

図1:「sEMSA-μGrid」による地域マイクログリッドの構成例

 sEMSA-μGridが提供する主な機能は、(1)再生可能エネルギーの自家消費、(2)電力需給の調整、(3)自己託送、(4)自立マイクログリッドの4つ。

 自家消費では、再生可能エネルギーの電力が需要よりも大きい場合、蓄電池への充電や再生可能エネルギー電力の抑制により電力系統に電気が流れる逆潮流を回避する。

 需給調整では、送配電事業者や電力小売事業者からの調整要請を受けて、系統からの受電電力をコントロールすることで、マイクログリッド全体の需要を抑制する。

 自己託送は、余剰な再生可能エネルギーの電力を需要が高い他拠点に融通する機能。自立マイクログリッドは、大規模停電時に蓄電池の自立運転機能を使って系統から遮断されたマイクログリッド内の需給を調整する機能である。

 sEMSA-μGridは、同社の工場向けシステム「sEMSA-Factory」での経験・技術を反映して開発した。太陽光発電で得られる電力や消費電力を予測し、複数電源の最適な運用計画や、精度の高い計画受電などに加え、広域で電力需給を調整するVPP(バーチャルパワープラント)システムの構築技術や、ベンダー間の差異を調整する技術などを生かしているという。

 住友電工によれば、地域マイクログリッドは今後、地球温暖化への対応や、豪雨・台風など天災に備える対策としての普及が期待される。