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企業が将来のディスラプションに対応するための6つのシグナル、米アクセンチュアが定義
将来のディスラプション(破壊)を予測し、それに対応しながら成長するためにビジネスリーダーが気付くべき6つのシグナルを米アクセンチュアが定義した。それを元に実施した調査では、ディスラプションへの対応能力が十分とする企業は6%しかなかった。2021年6月10日(米国時間)に発表した。
米アクセンチュアの『Accenture Business Futures 2021』は、日本を含む世界18カ国20業種の企業の経営幹部2650人を対象に、2021年3月~4月にかけて実施されたグローバル調査。
『Business Futures 2021』によれば、回答企業の88%が「現在直面している課題を明確に把握している」とするものの、「将来のディスラプション(破壊)を予測し、それらに対応する能力を十分に備えている」と回答した企業は6%にとどまった。
この調査を実施するに当たりアクセンチュアは、400人以上の研究者や専門家のクラウドソーシングで協力を依頼し、ビジネス変革の兆しを示す400のシグナルから、今後3年以内に企業に非常に大きな影響を与えると考えられる25のシグナルをリスト化した。
そのリストをもって同社の業界・機能別上位役職者2000人以上が参加するコミュニティーでインタビューやアンケート、ワークショップを実施することで、「すべての企業にとって未来の成長に向けて極めて重要なシグナル」(アクセンチュア)を6つ定義した(図1)。
シグナル1:未来から学ぶ─変化を事前に察知する
企業が将来の成長に向けてビジネスを根本から見直す際、正しい意思決定を下すために、多くの企業が新たなデータを取得し、アナリティクスやAI(人工知能)技術を活用して、市場や消費者行動の変化を把握し、ターゲットを定めて対応している。
調査結果では、「過去1年間で社内外のリアルタイムデータを収集し活用範囲を拡大している」とする企業が77%だった。
シグナル2:最前線への権限移譲─意思決定の分散化
世界的なパンデミックにより、独自のガバナンスや経済モデル、文化的規範を持つ地域が現れ、かつてないほど市場が細分化された。同時に、消費者の行動も急速に変化しており、進化する消費者のニーズに応える新たな競争相手も出現している。
調査結果では、ますます細分化が進むビジネス環境に対応するために、「より広範な企業連合体のような組織運営を望んでいる」企業が91%に上る。58%が「今後1年間でビジネスモデルを変更する」とした。
シグナル3:サステナビリティとパーパス経営の両立─目的志向から目的遂行への移行
企業は、すべてのステークホルダーに価値をもたらすパーパス(企業の存在意義)を定義する必要性を認識しているが、現状はパーパスと成果のギャップが拡大している。
調査結果では、経営幹部の28%が、「すべてのステークホルダーに価値を提供することに個人的にはコミットしない」と回答した。最大の課題の1つとして、「商業的利益のバランスを取ること」とする回答が48%だった。
シグナル4:制約を受けない供給─サプライチェーンの物理的限界を打破
世界的なパンデミックの影響を受け、企業は商品の流通を維持するために自社のサプライチェーン能力を限界にまで拡張してきた。
調査結果では、「マイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)を増やしている」または「増やす予定がある」との回答が92%あった。96%が「地域別のサプライチェーンを構築している」または「構築する予定がある」とした。
シグナル5:「リアル・バーチャリティ」─現実と空間を再定義
仮想環境が浸透するにつれ、現実(リアル)と仮想(バーチャル)の2つの世界が存在することとなった。
本調査では、仮想環境を構築するためのテクノロジーに投資している企業が88%に上る。そのうちの91%は、さらなる投資を計画している。
シグナル6:新たな科学的手法─サイエンス企業への転身
世界的なパンデミックによって、科学的なイノベーションが重視されるようになり、科学は企業の優先事項の1つになっている。
調査結果では、イノベーション創出において「サイエンス的なアプローチを取り入れることで将来的な成功につながる」と考える企業が83%あった。82%の企業は「未来の成功のために従来の事業領域を超えてサイエンスへの投資が不可欠である」としている。