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日本企業のDXやデータ活用が進むものの専任者/専任組織の設置は出遅れ、ガートナーが調査

DIGITAL X 編集部
2021年7月15日

デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み水準は世界と同じにもかかわらず、DXとデータ活用の取り組みが混同され、責任者や専任部門の設置が出遅れている−−。こんな調査結果をガートナー ジャパンが2021年6月28日に発表した。最高デジタル責任者(CDO:Chief Digital Officer)による推進は誤りだという。

 米ガートナーの『CDOサーベイ』は、米国、欧州・中東・アフリカ(EMEA)、アジア太平洋地域の組織において「CDO(最高データ責任者)」の肩書を持つ個人を対象に実施した調査。第6回として2020年9月〜11月にかけて実施した調査では、469人から回答を得た。

 第6回のCDOサーベイによれば、デジタルトランスフォーメーション(DX)については、回答者の83%が「取り組んでいる」とした。そのうちの76%がDX化を「主導」または「深く関与している」という(図1)。

図1:デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる組織の割合とデータ/アナリティクスリーダーの関与

 これに対し、ガートナーが日本のIT部門を対象に2020年11月に実施した調査では、従業員数2000人以上の大企業の78%が「DXやデータ利活用に取り組んでいる」と回答した(図2)。ただし65%が「DX化の推進とデータ利活用は区別せず取り組んでいる」とし、DX専門組織やデータ利活用専門組織の設置率も、それぞれ26%と15%だった。

図2:日本の従業員2000人以上の大企業におけるDXとデータ利活用の取り組み状況

 ガートナー ジャパンのアナリスト兼ディレクターである一志達也氏は、調査結果と日本の現状をこう分析する。

 「世界では大企業を中心にCDOが増加しており、CDOのリーダーシップの下、データ/アナリティクスの取り組みを進めている。ところが日本企業ではデータ/アナリティクスの取り組みに責任を担うCDOは、ほとんど存在していない。逆に、データ活用のDXの一環ととらえ、最高デジタル責任者(CDO:Chief Digital Office)の下で取り組んでいるケースが多く見受けられる。

 世界と日本の状況を比較すると、責任者の明確化と組織的な関与に違いが見られる。DXの推進にはデータ/アナリティクスが不可欠だが、これら2つを混同すべきではない。データ/アナリティクスがDXの一部であるととらえるのは誤解である。DXの推進には、データ/アナリティクスの活用が不可欠だが、それぞれの取り組みをバランスよく進める必要がある」