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サーモンの陸上養殖のフランチャイズパッケージ、NECネッツエスアイらが事業化

DIGITAL X 編集部
2021年7月26日

サーモンの陸上養殖のフランチャイズパッケージを、NECネッツエスアイなどが事業展開する。企業や自治体などを対象に、事業検討から養殖場の建設・運営、販路までを提供する。養殖環境をIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムで管理する。2021年7月7日に発表した。

 NECネッツエスアイなどが乗り出すのは、サーモンを陸上で養殖する事業のフランチャイズ(FC)ビジネス。陸上に建設する体育館のような建物内で、地下水などを循環させてサーモンを育成する「循環式陸上養殖」の仕組みを企業や自治体などに提供する(図1)。そのためにNECネッツエスアイは、陸上養殖事業者の林養魚場との合弁会社、ネッツフォレスト陸上養殖を設立した。

図1:NECネッツエスアイなどが事業展開する循環式陸上養殖システムの概要

 循環式陸上養殖は、酸素量や水温、滅菌などを制御した計画的な育成が可能なため、異常気象や環境の変化などの影響を受けにくく、年間を通じたサーモンの生産・供給ができるという。その陸上養殖環境をデジタル化により高度化を測る。例えば、工業的な生産管理手法の適用や、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)によるトレーサビリティーの確立、遠隔監視・制御による省力化などを図る(図2)。将来的には、AI(人工知能)やロボットによる自動化にも取り組むとしている。

図2:陸上養殖の仕組みをデジタル化で高度化を図る

 ネッツフォレスト陸上養殖は、この循環式陸上養殖の仕組みを、企業や自治体などに対しフランチャイズ方式で提供する。事業検討段階から養殖場の建設・設備、立ち上げ、養殖の運営、販路の確保までの各段階で必要な要素をパッケージ化した。陸上養殖は、養殖適地の不足や海洋汚染といった環境問題に対処でき、地産地消にもつながるとして提案する。

 最初のフランチャイジーとなるNESIC陸上養殖を設立した。NESIC陸上養殖が、陸上養殖場「富士・桂川ファクトリー」を山梨県西桂町に建設し、フランチャイズ展開する仕組みの有効性をサーモンの通年生産によって実証する(図3)。施設の建設や管理などを手がけるNECファシリティーズが元請けになり、2021年7月7日に着工した。

図3:陸上養殖場「富士・桂川ファクトリー」の完成イメージの透過鳥瞰図。(C)2021 現代建築研究所

 山梨県西桂町は、富士山の北麓にある桂川流域に位置し、富士山の伏流水による水資源が利用できるほか、中央自動車道へのアクセスなど交通の利便性にも優れているとしている。

 NECネッツエスアイらは、今後10年間で国内外にフランチャイジーを増やし、ビジネス全体の売上規模として年間300億円を目指す。