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サプライチェーンを改革する「現場最適化ソリューション」、パナソニックが提供を開始
サプライチェーン全体を改革するためのクラウドサービス群をパナソニックが、「現場最適化ソリューション」としての提供を開始した。現場の状況をカメラで撮影した情報などから分析し、AI(人工知能)技術を使って改善案を立案する。 パナソニックのコネクティッドソリューションズ社とパナソニック システムソリューションズ ジャパンが2021年7月19日に発表した。
パナソニックの「現場最適化ソリューション」は、製造や物流、流通などにおけるサプライチェーンをマネジメントするためのクラウドサービス群である。シフト作成から、入庫や仕分け、ピッキング、在庫管理、品出しなどサプライチェーンの各工程の業務を効率的に連携できるよう支援する。
将来的には、各アプリケーションが持つ情報を集約するデータレイク環境の構築を検討する。データレイクにより各業務プロセスを一元管理し、いつ、どこに、どれくらいの荷物が届くかをシフト最適化アプリケーションに連携することで人員配置計画の効率をさらに高めるとしている(図1)。
現場最適化ソリューションは、(1)可視化アプリケーション群と(2)最適化アプリケーション群からなる。前者は、現場の作業状態をカメラやセンサーを使って得たデータを可視化するもの、後者は、可視化した現状を分析し、新たな計画を立案・実行するものだ。
導入時は、現場をネットワークカメラなどで撮影し、その画像をコンサルタントが分析し業務プロセスの標準値・基準値を決定。標準値より長い作業時間や工数、滞留時間などを割り出し、ギャップを取り除いた上で、AI(人工知能)技術を使って新たな計画を作成し、現場の業務効率を改善する。
そのためのAIシステムには、パナソニック自身が製造業として取り組んできた業務プロセスの定義とオペレーションに関するデータを教師データとして学習させた。これによりカメラ画像から作業内容を可視化する。
現場最適化ソリューションは、まずは物流向けと流通向けの業種別に用意する。物流向けでは、荷主からの出荷情報を基に総荷量と荷物の到着日時を予測し、庫内作業や荷物の積み込み作業に必要なスタッフのシフト計画を立てる(図2)。その積み込み作業と同期した輸送計画を立てることで、荷物の滞留を防ぎ、作業の待ち時間などの非付加価値業務を削減できるという。
物流向けの可視化アプリケーションは4種類、最適化アプリケーションは3種類がある(表1)。
用途 | 名称 | 機能 | 提供時期 |
---|---|---|---|
可視化 | AI画像処理による作業可視化 | カメラ画像やセンサーで取得した庫内の状況をAI技術で作業単位に分解し、作業の内容や時間などを可視化する | 2022年度中 |
在庫可視化 | 在庫の回転率を可視化する。出荷頻度などを考慮した在庫ロケーション管理により、作業効率と在庫オペレーションの適正化を図る | 2022年度中 | |
動線分析 | 画像認識による庫内の人やフォークリフトなどの動線をAI技術で分析し、最適なレイアウト設計を支援するとともにモニタリングにより継続的にムダを抽出し常にレイアウトを最適にする | 2021年7月 | |
配送可視化 | スマートフォン(iOS/Android)で動態管理や、積荷・荷下・検品などを含めた作業実績を収集する | 2021年7月 | |
最適化 | シフト最適化 | 荷量や業務量予測と連動した作業計画と、人の勤務条件や保有スキルを考慮して平準化されたシフト計画を作成する | 2021年第3四半期 |
庫内最適化 | 荷物の入庫・保管・仕分け・出荷などのオペレーションと、庫内作業者のシフト計画、輸配送計画を同期し庫内オペレーションを最適化する | 2021年第4四半期 | |
輸配送最適化 | 荷量の予測や積載量、配送先までの時間や距離などを基に輸配送計画を策定する。トラックの到着時刻をAI技術で予測する | 2021年7月 |
一方、流通向けでは、バックルームでのスタッフの作業内容や在庫、店頭の棚の陳列状況を可視化したうえで、シフト計画の精度を高め、適切なタイミングで品出しを指示できるようにする(図3)。過剰発注による廃棄の削減や在庫切れによる販売機会損失の低減を図る。
流通向けの可視化アプリケーションは5種類、最適化アプリケーションは3種類からなる(表2)。
用途 | 名称 | 機能 | 提供時期 |
---|---|---|---|
可視化 | AI画像処理による作業可視化 | カメラやセンサーで取得したバックルームの業務をAI技術で作業単位に分解し、その内容や時間を可視化する | 2022年度中 |
在庫可視化 | バックルームの在庫(商品、個数、回転数)を可視化し在庫ロケーションを最適化する | 2021年7月 | |
動線分析 | 複数のカメラで取得した来店客の買い物動線をAI技術で処理し、棚の立ち寄り状況を可視化する | 2021年7月 | |
来店客可視化 | 来店客の映像をAI技術で処理し、来店客の人数や性別・年代を把握し、棚前滞留や通過人数をヒートマップで表示する | 2021年第4四半期 | |
棚可視化 | カメラとセンサーにより商品棚(冷蔵ショーケース)の陳列状況を可視化し、品薄/欠品のアラートを出したり、蓄積したデータを分析し発注計画へ反映する | 2022年度中 | |
最適化 | シフト最適化 | AI技術を活用した来店客予測・需要予測に基づく商品発注量や店内の品出し点数などから、作業計画と人の勤務条件・保有スキルを考慮したシフト計画を作成する | 2021年第4四半期 |
在庫最適化 | 在庫の可視化のデータを基に適正在庫を維持する業務を支援する | 2021年第2四半期 | |
配送最適化 | 荷量予測や積載量、配送先までの時間・距離・ルートなどを基に配送計画を策定する。トラックの到着時刻をAI技術で予測する | 2021年7月 |
現場最適化ソリューションの利用料金は要問い合わせ。登録人数や拠点数、カメラの台数、ライセンス数に応じた月額料金を提示するとしている。