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金融機関などでの不正取引をグラフ構造データから検知するサービス、富士通が伊LARUSに技術提供

DIGITAL X 編集部
2021年8月23日

金融機関などにおける不正取引をグラフ構造データを使って検知するサービスを、イタリアのインテグレーターLARUSが、富士通の深層学習技術を使って開発し、2021年8月からグローバルで販売を開始した。循環取引など従来は難しかった不正取引の検知が可能になるという。日本では富士通が販売する。2021年8月4日に発表した。

 イタリアのインテグレーターLARUSがグローバルに提供する「Galileo XAI」は、金融機関などにおける不正取引を検知するためサービス。取引間の関係を解析するために、人やモノのつながりをネットワークの形で表すグラフ構造データを利用することで、循環取引など複雑な不正取引の検知率を高めた(図1)。金融機関のリスク低減やコスト削減が図れるとする。

図1:「Galileo XAI」はグラフ構造データを使って不正取引を検知する

 Galileo XAIの製品化に当たり富士通は、グラフ構造データの関係性を分析するためのDeep Learning(深層学習)技術「Deep Tensor」(富士通研究所が開発)を自社のAIスコアリング基盤サービス「Finplex EnsemBiz」に標準搭載し、LARUSに提供する。Deep Tensorを用いることで、AI(人工知能)による判断理由の提示・可視化が可能になるとしている。

 クレジットカードの不正利用や自動車保険の不正請求を対象にしたPoC(Proof of Concept:概念実証)も、LARUSと富士通が2020年1月から実施してきた。イタリアのクレジット決済サービス会社Nexi Paymentsのデータを使ったPoCでは、人手で定義するルールベースの手法に比べ、不正検知率を72%から89%に高められた。誤検知率は63%削減できた。

 イタリアの自動車保険会社のデータを使ったPoCでは、ルールベースに比べ不正検知率が18%から81%に高まり、誤検知率は82%から19%に低減したという。

 両社は今後、不正検知率の向上を図るとともに、Galileo XAIを金融業界だけでなく、政府や教育、製造、製薬など他業界へも展開していくとしている。