- News
- 共通
DXを推進する人材に求められる5つの役割、ガートナージャパンが提言
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する人材に求められる5つの役割をガートナージャパンが提言している。DXに取り組むなかで人材不足は大きな課題になっているが、ガートナーは人材に求められる役割や特性などを理解したうえでの人材獲得・育成が必要だと指摘する。2021年8月18日に発表した。
ガートナージャパンが提言する、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する人材に求められる5つの役割は、(1)ビジネス系プロデューサー(ビジネスアーキテクト)、(2)テクノロジー系プロデューサー(テクノロジーアーキテクト)、(3)テクノロジスト(エンジニア)、(4)デザイナー、(5)チェンジリーダーの5つである。
それぞれの具体的な役割は以下の通り。
(1)ビジネス系プロデューサー(ビジネスアーキテクト)
DXによるビジネスゴールを定義し、新たなビジネスモデルを考えたり、DXに関する企画を考えたりする役割を担う。経営層や社内外の意思決定者とのビジネス面でのコミュニケーションにも責任を持つ。
(2)テクノロジー系プロデューサー(テクノロジーアーキテクト)
ビジネスゴールの達成に向けた最適なデジタルテクノロジーの特定やテクノロジーの適用によるシステム面の影響の分析、予測などを担う。経営層や社内外のエコシステムのパートナーに対する技術面のコミュニケーションにも責任を持つ。
(3)テクノロジスト(エンジニア)
現場で実際にテクノロジーを活用する役割を担う。自動化、データサイエンス、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、AI(人工知能)などの新興領域に注目しがちだが、確実にDXを推進していくためには、通信ネットワーク、IT基盤、セキュリティ、クラウドなどの既存の領域の役割も重要である。テクノロジストもまた、全従業員が対象となる。
(4)デザイナー
ソリューション、サービス、アプリケーションのUX(User Experience:顧客体験)をデザインする。UX面のコミュニケーション、UXとデザインに関する知識の社内普及に向けた教育なども担当する。
(5)チェンジリーダー
デジタルテクノロジーの導入に伴う働き方(業務、意識など)のシフトの主導、変革の目的やゴールの整理、変革のコミュニケーション計画の作成、関係者全員を巻き込んだ意識と行動変容に向けた施策の計画/展開などを担う。
上記の5つの役割について、ディスティングイッシュト バイス プレジデントでガートナー フェローの足立 祐子 氏は、こう説明する。
「5つの役割は、1人が1つの役割を果たす場合と1人が複数の役割を兼任する場合がある。企業によるDXへの注力の仕方やリソースにより違いはあるが、能力だけでなくビジネスとIT双方の経験が必要なため、5つの役割すべてに1人で対応することは現実的には考えにくい。1つの役割を1人もしくは2つの役割を1人で担うところから計画を進めることが、地に足の着いたDX人材の育成につながる」
そうしたDX人材に求められる特性も指摘する。DX人材に求められる知識/スキル/コンピテンシーとして、(1)意識(マインドセット)、(2)デジタルイノベーション、(3)IT、(4)ビジネスの4分野を挙げる。例えば意識には、協調性、決断力、学習志向、リスクテイク、ダイバーシティ/エクイティ/インクルージョンがあるとする。
これら4分野は、先の5つの役割すべてに共通するが、それらの重みとバランスは人材の役割と企業のデジタル戦略によって異なるという。足立氏は、「自社のDX戦略に合わせて、どのような能力が、どの程度必要か、自社にとって特に重視する能力を見極めてバランスを考えることが重要だ」と話す。
人材育成に関しても、「すべてに秀でている人材を育てるのは現実的ではないため、自社の目的に合った人材を育てることをゴールに据えるべきだ。そのためにはDX戦略とゴールを明確化しておくことが必須だ」」(足立氏)としている。