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データを秘匿化したまま統計分析を実行する「秘密計算」のクラウドサービス、NTT Comが開始

DIGITAL X 編集部
2021年8月30日

異なる組織が保有する機密データを互いに秘匿化したまま統合し統計分析を実行する「秘密計算」のクラウドサービスを、NTTコミュニケーションズが2021年8月19日に開始した。Webブラウザから利用でき、複雑なコマンド入力なしに分析できるという。同日に発表した。

 NTTコミュニケーションズの「析秘(せきひ)」は、データを秘匿化したまま分析結果のみを出力する「秘密計算」技術を提供するクラウドサービス(図1)。個人情報や機密データなどデータの分析者は元データを参照できず、分析結果のみを取得できる。例えば医療分野では、複数の研究機関が保有するゲノムデータを集約し、ヒトの遺伝子変異と疾病の関連性の分析などに利用できるとする。

図1:「析秘(せきひ)」は元データを秘匿化したまま統計分析を実行する

 秘密計算の仕組みはこうだ。計算対象の平文データをまず、単独では意味のない複数の断片データに変換し、秘密計算用のサーバー群に分散して保存する。その後、各サーバーが互いに通信・協調し、断片データを復元せずに統計処理などを実行する(図2)。

図2:秘密計算では、データを断片化し、複数のサーバーに分散して計算する

 これにより、異なる組織が保有する機微な情報であっても、データの登録者は互いのデータを参照できず、システム管理者も計算の途中経過を参照できない。データは断片化されているため第三者が不正に取得しても、元のデータには復元できない。

 NTTコムで今後、統計分析に用いる関数の追加など機能を拡充していくという。

 析秘の利用料金は、利用するレコード数に応じて3つのプランを用意する。付与するID数と初期費用、月額利用料は表1の通り。2025年度までに数百の企業への提供を目指す。

表1:「析秘」の料金プラン。費用はいずれも税込
プラン名(レコード数)付与ID数初期費用月額利用料
100万レコードプラン10ID55万円44万円
1000万レコードプラン20ID110万円93万5000円
1億レコードプラン40ID220万円374万円