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DXに向けた経営層の“本気度”は現場に近づくほど伝わっていない、ドリーム・アーツの調査

DIGITAL X 編集部
2021年9月2日

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むに当たり経営層の“本気度”は役員、中間管理職と現場に近づくほど浸透度が下がる--。こんな調査結果を、大企業向け業務用クラウドサービスなどを手がけるドリーム・アーツが2021年8月24日に発表した。DXとデジタル化の違いを説明できないという回答も7割以上にのぼった。

 ドリーム・アーツの『大企業の管理職1,000名に聞いた“DX/デジタル化に関する調査』は、従業員数1000人以上の大企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)と業務のデジタル化への取り組み状況を聞いたもの。経営層と役職者1000人を対象に、2021年7月30日から同8月2日までインターネットで実施した。

 調査時にDXに取り組んでいると回答した企業は、「全社的に取り組み中」と「部分的に」を合わせて59%(図1の左)だった。一方で業務のデジタル化に取り組んでいる企業は「全社的に取り組み中」と「部分的に取り組み中」を合わせて64%だった(図1の右)。

図1:DXに取り組んでいる企業の割合(左)と業務のデジタル化に取り組んでいる企業の割合

 ただし、DX/業務デジタル化への取り組みにおける最重要テーマについては、「わからない」が29%で最も多かった。以下「デジタル技術を活用したビジネスプロセス改革」と「ペーパーレス化による生産性の向上」がそれぞれ26%、「デジタル技術を活用したビジネスモデル変革」が24%で続く(図2)。DXの具体的な取り組みを把握していない経営層や役職者が3割近く存在するわけだ。

図2:DX/業務デジタル化の取り組みにおける最重要テーマ

 また「DXとデジタル化の違いを説明できるか」という問いに対し、「説明できない、わからない」と「どちらかというと説明できない」を合わせると73%に上る(図3の上)。役職別では、役員クラス(取締役以上)が61%、管理職(部長クラス)が64%、中間管理職は80%で“現場”に近い人ほど両者の違いを説明できない人の割合が高い(図3の下)。

図3:DXとデジタル化の違いを説明できるかどうか

 こうしたなか、「自社の経営層は『本気でDXが重要だ』と認識していると思うか」との質問に対する回答は、「そう思う」と「ややそう思う」を合わせても51%どまり(図4の左)。「そう思う」とする回答は、役員クラスが約37%、中間管理職は約21%と、やはり現場に近いほど本気度は伝わっていない(図4の右)。

図4:経営層のDXへの本気度を感じるかどうか

 同様に「経営層からのDX方針が明確に出ているか」との問に対し、「そう思う」との回答は、役員クラスが51.4%、管理職が44.4%、中間管理職は31%と、経営層側は方針を出しているつもりでも、職位が下がれば下がるほど伝わっていなかった。

 すでにDXに取り組んでいるとする回答者に、DXの成果が出ているかどうかを聞いたところ、「そう思う」と「ややそう思う」を合わせて52%だった。

 「成果が出ている」との回答者が属する企業の特徴としては、「経営層からのDX方針が明確に出ている」(同意80%)、「経営層がデジタルの価値をよく理解している」(同69%)、「経営層の中にDXの責任者がいる」(同65%)があった(図5)。

図5:DXの成果が出ている企業の共通点