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製造業・小売業における需要予測やデータ分析のための気象データセット、ウェザーニューズが発売

DIGITAL X 編集部
2021年9月8日

製造業や小売業が商品の需要予測あるいはデータ分析の際に使用できる気象データセットをウェザーニューズが2021年8月30日に発売した。天気や気温、降水量など売れ行きに影響する気象データを1キロメートルメッシュで提供するため、店舗単位での分析や需要予測モデルの構築に適しているという。同日に発表した。

 ウェザーニューズの「WxTech(ウェザーテック)サービス」は、企業がデータ分析に取り組む際に組み合わせられる気象データを提供するクラウドサービス。今回、製造業・小売業が店舗運営に必要な需要予測やデータ分析に取り組む際に利用できる気象データの提供を開始した(図1)。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使ってデータを取得でき、既存システムとの連携も可能だ。

図1:「WxTech」が提供する製造業・小売業向け気象データセットの概要

 提供するのは、天気・気温・降水量・風向・風速・気圧・湿度について、1時間ごとや日ごとの気象予測と、過去に発表された気象予測、および2018年以降の実況解析の1キロメートルメッシュのデータ。サービス開始に当たり、10日先までのキロメートルメッシュでの降水量の予測データを開発した。

 天気や気温などの気象データは、商品の売れ行きに影響がある要素の1つ。今回、1キロメートルメッシュの単位で、1時間ごと・1日ごとのデータを提供することで、店舗単位でのピンポイントな分析や需要予測モデルの構築に適しているとする。

 例えば発注業務において、72時間先や10日間先までの気象予測のデータを活用すれば、気象による売れ行きの変化を加味した商品発注が可能になるという。また、観測データが周辺にない店舗の分析では、実況解析が有効だとする。実況解析をもとに売上高や来客数を分析すれば販売促進につなげられるとしている。

 AI(人工知能)技術などを用いて商品の需要予測や来店客予測などの予測モデルを構築する場合は、過去の気象予測と気象予測と実況解析のデータを組み合わせることで精度向上が期待できるとする。特に過去の気象予測は、当時の予測が実際のデータと比べ、どの程度外れていたかの学習データとして利用できるという。

 ウェザーニューズでは検証と改良によって、予報精度90%以上を保っているとする。今後は、より精度の高い需要予測モデルを構築できるようにするほか、体感や花粉予報など小売業に特有のニーズがある気象データも順次追加していく計画だ。

 なお同社は、1990年代にコンビニエンスストアに対する「流通気象サービス」を開始した。現在は全国5万7000店のコンビニやスーパーに気象情報を提供し、商品の発注業務や販売計画を支援している。ただこれまでは、利用企業のオンプレミスの環境を対象に専用にカスタマイズした気象情報を提供していた。