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金融システムと他システムをつなぐAPIのマーケットプレイス、NTTデータが開設へ

DIGITAL X 編集部
2021年9月9日

金融システムと他システムをつなぐためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を扱うマーケットプレイスを、NTTデータが2021年10月に立ち上げる。金融機関が提供するAPIの他業界からの利用を促進する。2021年8月31日に発表し、同日からAPI提供者の募集を開始している。

 NTTデータが2021年10月に開設する「API gallery」は、金融機関が提供する金融サービスのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を登録/検索するためのマーケットプレイスである(図1)。主に金融機関などをAPI提供者(プロバイダー)とし、FinTech企業や自治体などのAPI利用者とを結び付ける。マイナンバー連携などを行政などが提供するAPIも対象にする。

図1:「API gallery」は、金融APIのためのマーケットプレイス

 API galleryをオープンなマーケットプレイスにするため、NTTデータ自身や特定の企業/団体が提供するAPIだけでなく、NTTデータが提供するAPIサービスを利用していない銀行のAPIも掲載対象にすることで中立性を強調したい考え。利用者は特定のAPI提供者に縛られずに、用途に応じたAPIを選べるとしている。

 APIだけでなく、APIを包含したソリューションも掲載する(図2)。ソリューション単位でも検索でき、利用者が実際のビジネスシーンにおける活用方法を想像できるようにしている。その理由は、APIがマイクロサービス化されており、単体だと活用例が分かりにくい場合があるからだ。

図2:「API gallery」のAPI検索画面の例。APIに加えソリューションも掲載する

 API galleryの利用者を対象にしたコミュニティー機能も2022年1月をメドに追加する。企業向けチャットツール「Slack」などとの接続を想定する。APIの提供者と利用者が直接、既存APIに関する問い合わせや新しいAPIなどに向けたアイデア交換などを可能にし、API連携によるビジネス創出を促したい考えである。

 必要に応じて、NTTデータのコンサルタントが登録者と利用者のマッチングや事業創出まで支援する予定だ。誕生した事業やユースケースは、各種イベントやNTTデータのWebサイトなどで発信し、金融APIエコシステムの活性化を促すとしている。

 API galleryは、NTTデータが描く金融IT戦略/標準アーキテクチャー「Open Service Architecture(OSA)」のコンセプトに沿ったもの。パブリッククラウドを含めたオープンな基盤とオープンなAPIにより、企業間のサービス連携による新たな金融サービスなどの実現を目指している。

 NTTデータによれば、日本では2017年に銀行法が改正され、金融機関にAPI連携に関する努力義務が課されたものの、APIの利用はまだ拡大していない。原因の1つは、APIの提供者/利用者ともに多数で、双方の狙いに合致する相手を探すために時間がかかることだとする。

 API gallery自体の利用料は無料。アカウント登録をすれば個人でも閲覧できる。2021年8月31日からAPI提供者の募集を始めており、2021年度中に200団体以上の参加を目標にする。