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重機を遠隔操縦するためのサービス、NECが開始

DIGITAL X 編集部
2021年9月14日

重機を無線ネットワークを使って遠隔操縦するためのサービスをNECが2021年10月に開始する。独自の通信技術により、通信品質が変動する環境下でも円滑な操作が可能になるという。2021年9月7日に発表した。

 NECが2021年10月に開始する「重機遠隔操縦サービス」は、建設現場にWi-Fiやローカル5Gなどの無線ネットワークを構築し、重機を遠隔地からリアルタイムに操縦できるようにするもの(図1)。現地の様子を映す映像を送信し、状況を確認しながら操作する。

図1:NECの「重機遠隔操縦サービス」による遠隔操縦の例

 通信品質の変動が頻発する無線環境下でも、スムーズな遠隔操縦を続けるために、独自の「適応遠隔制御技術」を開発した。通信の実効伝送量を予測し、伝送量に見合うように映像の伝送量を制御する。操作コマンドの到達遅延も予測し正確な操作になるよう制御する(図2)。

図1:NECの「重機遠隔操縦サービス」の概要

 無線の通信品質に応じて映像伝送量を動的に制御することで、同じ通信容量を持つ環境下でも、カメラの台数を増やしたり画質を高めたりが可能になる。操作性の改善のほか、現場の追加・変更や制御エリアの変更への対応が容易になるとしている。

 一般的な無線による映像伝送では、カメラ台数を減らしたり画質を落としたりして、通信容量に余裕を持たせて設計する必要があった。結果、十分な視覚情報を操縦者が得られず操作性の低下につながっていたという。

 なおNECは、我孫子事業場(千葉県我孫子市)に建設現場を想定した実証フィールドを設け、遠隔操作のデモや検証ができるようにした。まずは小型のバックホウで土砂をダンプカーに積み込み搬送するまでの作業を、操縦室から遠隔操縦できる環境を整備した。今後は、企業が持つ拠点と接続した遠隔操縦や重機の自律施工などに向けた新しいサービスの検証・開発に活用する考えだ。

 NECによれば建築・土木業界では、熟練職人の高齢化や若手就業者の減少が進み、増加するインフラ補修や災害復旧の工事への対応が困難になっている。「危険で過酷」といった現場のイメージを払拭し、多様な人材による労働力確保が急務であり、安全・安心で快適な労働環境を実現する重機の遠隔操縦が着目されている。