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商品の画像認識に必要な商品画像の登録を簡易にする技術、NECが開発

DIGITAL X 編集部
2021年10月8日

商品の画像認識に必要な商品画像の登録作業を簡易化する技術をNECが開発した。商品を手に持ちカメラの前で回転させるだけで画像認識に必要な画像を抽出する。2022年度の製品化を目指す。2021年9月30日に発表した。

 NECが開発した「画像認識向けインスタント物体登録技術」は、商品を画像認識するために必要な学習用の画像データの作成・登録を容易にするための技術。実際の商品さえあれば、それを手に持ちカメラの前で商品を10~20秒、回転させれば必要な画像データを作成できる(図1)。

図1:商品を手に持ちカメラの前で10~20秒回転させるだけで画像認識に必要な学習用データを登録できる

 NECによれば、小売業や物流業などにおいて、商品管理などに画像認識技術を利用する動きが増えている。店舗の棚にある商品や備品の管理、次世代型の無人決済のための商品確定などだ。

 ただ、こうした画像認識には、新商品を取り扱う度に、学習データとなる商品画像を事前に登録する必要がある。新技術を使えば、店舗限定商品や、倉庫や工場単位でのみ取り扱う物品であっても、実物があれば、その場で登録できるようになる(図2)。

図2:店頭にある商品を画像認識技術を使って管理するためには、学習データとなる画像の登録が必要になる

 新技術では、手持ちで撮影した商品画像から、その商品の画像認識に必要な学習データとして、複数の側面からの画像を収集する(図2)。収集した画像に対しては、商品領域の切り出しや、ブレなど不適切な画像の除去なども実行し、画像認識モデルを構築する。こうした作業は人手で実施すれば、1商品当たり約30分かかるとしている。

 商品領域が切り出せるのは、商品を回転させることで、動いている前景を商品だと認識し、動いていない部分は背景として分離しているため。商品を動かすことで発生する画像のブレや手による隠れなどを認識することで、学習データには不適切だと判断しているという。

 一般に商品画像の撮影時には、回転台など専用の撮影機材が使われている。新技術を使えば、そうした専用機材が不要になるため、カメラがあれば、どこでも商品画像を登録できる。撮影場所の背景にも依存しない。紙などの平たい物体やポテトチップスのような袋状の商品も、実際の外観に近い形で撮影できるとしている。